俺は、由夢が好きだ。
この気持ちは誰にも譲れない。
その為には、兄妹という殻を破らなければならない。
気持ちを伝えるのが良いのか悪いのかよく分からない。
どうしたらいいのか分からなかった。

そんな俺に手を差し伸べてくれた人がいた。
純一さんだった。

「――俺は、由夢が好きです。でも、俺と由夢は兄妹です。自分はどうしたらいいのかこの気持ちを伝えるべきか否か…」
「うん…まぁ兄妹から恋人――周りから見ればあり得ないことだな」
「はい…」
「俺と音夢――二人が元は義理の兄妹だって事は知ってたか?」
「はい、大分前に一度聞いたことがあります」
「そうか…俺たち二人はお互い小さいときから気持ちに気付いていた。
でも、少なくとも俺は、そんな音夢の気持ちは知っていたが知らない振りをしていたんだ」
「……」
「だから、詳しく説明するのはかったるいからまとめて言うと、大切なのは自分自身の気持ちだ。
周りの目なんか気にしてたら、兄妹という殻は破れない」
「周りの目…」
「後は自分で考えろ。義之、お前なら出来るよ」
「ありがとうございます――良い参考になりました」
「そうか…それは良かった」
純一さん…ホントありがとうございます。

「気持ちが固まりました。俺は由夢に告白します」
「それは自由だ」
「それじゃあ、ありがとうございました。それでは…」
「また、顔を見せてくれよ」
「はい、では…」
俺は朝倉家を出た。そして、由夢の携帯へ電話をかけた。




「はい、なんですか?兄さん」
急な兄さんからの電話。普段余り電話をかけてこないので、何事だろうと思った。

『今から、時間あるか?』
「はい、もう帰ろうと思っていたので…」
『じゃあ、桜公園の…桜の木のところで待っているから来てくれるか?』
「分かりました。では、後10分ほどで着きますから、では切りますね」
『うん、じゃあな』
ピッ
私は桜公園に向かった。




由夢は言った通り10分ほどで来た。

「悪いなわざわざこんな所に」
「いいですよ。どのみちこっちに用事で来ていましたし」
「そうか…もう用事はいいのか?」
「はい、もう終わりましたので…」
「……」
「で、話があるんでしょう?なんですか」
そうだ、俺は由夢に告白するために此処に来た。
深呼吸をして…

「由夢…」
「はい?なんですか改まって…」
「俺は、由夢の事が好きだ――」
「えっ!?」
「俺は、由夢の事が好きだ――」
もう一度同じ言葉を言う。
それから、その後の由夢の返事を待った。
そして、(とき)が動き出した。





前編に続く…

Yu*H.Aさんから頂きましたD.C.U由夢SS「私と姉とそして…」のプロローグです。



                                        
私と姉とそして…
〜プロローグ〜
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