ツンデレな彼女
「おっはよ〜」
「おはよう、こなたさん」
俺は教室に入って来たこなたさんに朝の挨拶を返す。
こなたさんは何故か自分の席には向かわず、一直線に俺の方に向かって来た。

「どうしたの、こなたさん?」
「あ、あのね、昼休み・・・いいかな?」
頬を染めてこなたさんは上目遣いで俺を見て来る。
演技とは分かってても、可愛い女の子にこんなことをされたらさすがにちょっと照れる。
だがまぁここでドギマギするとこなたさんの思うツボだ。俺は努めて平静を装って尋ね返した。

「何のプレイなの?」
「分かってるんなら合わせてよ〜」
と頬を膨らませてこなたさんが抗議する。

「いやだって、キャラに合わな・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「いえ、何でもないです」
突き刺さるような視線から、有無を言わさずという声が聞こえた。

「じゃあ昼休みね!」
サムズアップしてこなたさんは自分の席へと移動する。
しかし昼休みって、ほぼ毎日一緒に昼ご飯食べてるのに・・・




「かがみんってば教室に友達いないの〜?」
「毎回同じこと聞くな!」
あっという間に昼休み。4時間目に体育があったせいでお腹はペコペコだ。
教室で机を合わせて俺とこなたさん、かがみさん、つかささん、みゆきさんの5人はお弁当を食べる。
周囲の男子生徒からの視線は相変わらず痛いが、優越感を感じられる瞬間でもある。

「「「「「いただきま〜す」」」」」
母親お手製の冷凍食品中心の弁当だが、作ってくれるだけマシだな。
世の中には専業主婦なのに作らないなんて母親もいるわけだし。

「あれ?今日もつかささんが作ったんだ」
ふと目を他の4人の弁当箱に移した時に気付いた。
柊姉妹のお弁当は昨日と同じようにたくさんのおかずで彩られている。
いつもはかがみさんと交互に作ってるのに。

「ち、違うよ。これはお姉ちゃんが作ったの」
慌ててつかささんがそれを否定した。

「ええ!?かがみが!?」
「かがみさんが!?」
俺とこなたさんがほぼ同時に驚く。
みゆきさんも口にこそは出さないが、驚きの表情だった。

「悪かったわね、いつもは質素で」
誰もそこまでは言ってないのに、膨れた顔でかがみさんは拗ね気味に言う。
まぁ俺の発言が暗にそれを物語ってたのは否定出来ないが。

「いや、だってさ、私だって勘違いするよ?かがみの作るお弁当ってもっと地味じゃん」
酷っ!せめて質素って言ってあげて。

「地味で悪かったわね!」
「わわ、冗談だってば〜」
でもまぁこなたさんの言う通り、かがみさんがいつも作るお弁当は地味や質素と言わないまでもおかずが少なめだ。
つかささんの作るお弁当の場合おかずが多いから余計にそう見えてしまう。
でも確かに言われてみれば、つかささんの作ったお弁当に比べると鮭がちょっと焦げてたりする。

「でも、どうしてこんなに今日は気合入ってるの?」
「い、色々あるのよ!」
そういうとかがみさんは少し頬を染めて俺の方をチラッと見た。
俺、何かしたっけ?

「そういえばこなたさん」
「ん?どうかした?」
恥ずかしくなり、違う話題をこなたさんに振ることにした。

「朝言ってた用事って何だったの?」
「あ〜忘れてた」
自分で言っといて・・・
こなたさんは一度自分の机に戻り、カバンを取って来た。

「はい。ハッピーバレンタイン」
「え、あ、ありがとう」
こなたさんから綺麗な袋を渡される。
そういや今日はバレンタインだった。
さっきまでは覚えてたけど、お弁当の驚きで頭から一瞬消えてた。
そして間違いなく周りの男子からの殺気が増した。

「ちょ、こなた!?」
「どうしたの、かがみ?」
「こんな目立つところで渡すって何考えてんのよ!?」
「え〜別にどうせ義理じゃん。義理。義理チョコなんだから気にしなくても」
「そこまで義理を強調されると泣きたくなるから止めて・・・」
とは言え義理でも嬉しいものは嬉しい。
女の子からチョコが貰えて嬉しくない奴はいないだろう。・・・多分。

「これ、クッキー?」
「うん。チョコクッキーだよ。いや〜チョコ溶かすのって面倒でさ〜」
「あんた・・・」
面倒って言われたよ・・・
かがみさんも呆れた目で見ている。

「あ、でも味は保証するから!」
「ありがとう。味わって食べさせて貰うよ」
こなたさんの料理の腕は確かだし、きっと美味しいだろう。

「あ、それじゃあ私も今渡しますね。ハッピーバレンタインです」
そう言ってみゆきさんもカバンから綺麗にラッピングされた箱を取り出し、俺に差し出して来た。

「ありがとう、みゆきさん」
「お〜みゆきさんってば綺麗にラッピングしてるね〜。・・・本命?」
「ち、違いますよ。私も泉さんと同じ義理チョコです」
分かってはいるけど、否定されると悲しい・・・

「じゃあ次は私だね。はい!」
そう言ってつかささんも、みゆきさんに負けず劣らず綺麗にラッピングされた箱を差し出して来た。

「ありがとう、つかささん。・・・一応確認しとくけど、やっぱ義理チョコだよね」
「え!?あ、その・・・ごめんね」
「いや謝られても悲しくなるから謝らないで」
気のせいか周りの殺気も若干和らいでる気がする。
これで全て本命だったりした日には、リンチでもされそうだ。
まぁそんな展開はこなたさんの好きなギャルゲーの中くらいだろうけど。

「これが全部本命だったらエロゲの主人公みたいだね」
こなたさんもほとんど同じことを考えたらしい。
しかし人がわざわざオブラートに包んでギャルゲーと言ったのに、しっかりとエロゲと言うところがこなたさんらしい。

「せめてギャルゲーかパソゲーって言って・・・」
ふとそこでかがみさんのツッコミが入らないのが気になった。
いつもなら俺よりも先に『昼休みにエロゲなんて言うな!』とか言いそうなのに。
横目で様子を伺うと俯いて、何やら考え事をしているみたいだった。

「え〜っと、そのかがみさんのチョコとかは?」
自分から催促するのもどうかと思ったが、聞いてみる。

「え!?わ、私は無いわよ!皆から貰えたならいいじゃない」
顔を上げたかがみさんが力いっぱい否定してくれた。
地味にショック・・・

「失敗したの?」
「ち、違うわよ。義理チョコなんて作ってないだけ!」
「かがみんってば冷たいな〜」
いつものような冷やかすようではなく、結構マジメな顔でこなたさんは言った。

「お姉ちゃん?」
「な、何よ、つかさまで?」
「・・・ううん。何でもないや」
「そう?なら別にいいけど」
ん?つかささん何か言いたそうだったけど、どうしたんだろう?

「でも、かがみってば勿体ないことを。1ヶ月後には3倍になって返って来るんだよ?赤い彗星だよ?」
「え、何?3倍返し確定?」
「それが男の甲斐性って物だよ。ね、みゆきさん?」
そこでみゆきさんに振るか・・・

「ええ!?そ、その・・・私は別に心が籠ってるなら何でも嬉しいです」
赤面して、俯いて答えるみゆきさんに見惚れそうになる。
さすが歩く萌え要素の二つ名は伊達じゃないな。

「ん〜じゃあつかさは?」
「私も心が籠ってれば嬉しいかな」
「む〜じゃあ私も心が籠ってればいいや」
内心ホッとしつつ、再びかがみさんが静かなことに気付いた。
さっきからどうしたんだろ?




「誰なんだろう?」
放課後、いつの間にやら机の中に入っていた手紙には屋上に来て下さいとだけ書いてあった。
イタズラかも知れないが、今日はバレンタインデー。否が応でも心臓が高鳴るのを感じる。
しかしまだいるのだろうか?黒井先生に頼まれた雑用の後に気付いたので、随分遅くなってしまった。

「この扉の向こうにいるんだよな。・・・ふーっ」
深呼吸してから屋上に繋がる扉を開けた。

「眩し・・・」
夕陽に目が眩む。この時間はちょうど西日が正面に来る時間だった。
右手をかざして陽光を遮り、人影を探した。

「あれは・・・」
いた。もう帰ってしまったかも知れない、イタズラかもと考えもしたが、確かにそこにいる。
その人のいる方へと歩を進める。
長い髪を頭の左右で縛った特徴的な髪型。
俗にツインテールと呼ばれる髪型をした少女は、こちらを見ずに金網越しにグラウンドの方を眺めている。

「かがみさん・・・」
「遅かったわね」
こちらを振り向きながらかがみさんはそう言った。

「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
互いに見つめ合ったまま時間が流れる。
多分1分、いや30秒も経ってないのだろうが1時間にも2時間にも感じた。
そんな長く感じる時間は、かがみさんが口を開いたことで終わりを告げた。

「これ・・・」
それだけ言って、後ろに回していた手を前に差し出して来る。
その手には綺麗なラッピングがされたこじんまりとした箱があった。

「あ、ありがとう、かがみさん」
「うん・・・」
受け取る際に少し触れた手は冷たく、長いことここで待っていたことが分かった。

「すごく嬉しいよ」
「い、言っとくけど、義理だからね、義理。勘違いしないでよね」
「それでも嬉しいよ」
「う・・・。バカ・・・」
そう言ってかがみさんは俯く。
頬が赤いのは夕陽のせいだけじゃないだろう。




「っていう展開期待してるんだけど、無い?」
「無い」
かがみさんはキッパリと言い切った。

「こなたさんの妄想長い」
「せっかく考えたのに〜」
キーン コーン カーン コーン

「予鈴も鳴ったし私は戻るわね」






「な・・・何で俺が・・・」
「今日運悪く日直やったことを恨むんやな〜」
放課後、俺は黒井先生の雑用に駆り出されていた。
まさか本当にこなたさんの妄想通りになるとは・・・
し、しかし。

「人遣いが荒い・・・」
「何か言ったか!?」
「いえ!何でも無いです!」
すでに4階から1階にダンボールを運ぶ作業は2往復目。
そこまで重くは無いが、手がプルプルして来た。

「ん?」
携帯が短く震えた。メールか?
だが今は両手で荷物を持っているので、見れる状態じゃない。

「階段踏み外すなよ」
「はい」
黒井先生に次いで俺は階段を降りて行く。
メールはあとで見ればいいや。

「あと3往復もすれば終わるわ」
「まだ3往復・・・」
これが昇りじゃないだけマシだと思おう。




結局、その後整理整頓まで手伝わされてからようやく荷物を置いたままの教室に戻って来た。
まぁジュース奢って貰ったし、いい運動になったと思おう。
夕陽が無人の教室に差し込んでいて、どことなく悲しさというか1日の終わりを感じた。
壁に掛けてある時計を見ると時刻はもう17時前だった。

「そういえば・・・」
さっきのこなたさんの妄想だと、机の中に手紙が入ってるんだよな。
ある訳が無い、と思いつつもどこか期待してしまうのは男のロマンという奴だろう。
そ〜っと自分の机の中を覗くが、中はやはりと言うか、当たり前というか空っぽだった。

「・・・やっぱりか。何期待してたんだろ、俺」
普通に考えればあるハズが無い。
大体本当に呼び出すつもりなら、朝に入れておくだろ、常識的に考えて。
既にまとめていたので、カバンだけ持って教室を出る。

「・・・静か過ぎて不気味だな。早く帰ろ」
放課後の校舎は人がいなくて不気味過ぎる。
特に今は2月なので部活ももうすぐ終わりの時間だ。




「ただいま〜」
「おかえり。どう、チョコ貰えたの?」
「まぁね」
「あらあら。本命チョコ?」
母さんが喜々として聞いて来るが、生憎全て義理チョコだ。

「別にいいだろ」
「あら、ダメだったの。もうすぐ夕飯だからね」
「はいはい」
適当に受け流し、手洗い、うがいをしてから2階の自室へ向かう。

「は〜疲れた〜」
帰宅部の身体に肉体労働はしんどいものがある。
着替えもせずにコートだけ脱いで、ベッドにダイブする。
ポケットの中に入りっぱなしの財布と携帯だけでも出そうとしたところで気付いた。

「あ、そういえば・・・」
メールが来てたのをすっかり忘れてた。
ポケットに突っ込んでいたままの携帯を手に取り新着メールを確認する。
1件・・・かがみさん?受信時間は15時30分。
今の時間は17時30分前。内容は・・・




「どこ行くの!?もうすぐ晩御飯だよ!?」
「忘れ物したから取りに行って来る!」
「そんなに大事なものなのかい?」
「・・・多分」
靴を履きながらそう答えた。
俺にだって大事なものなのかどうか分からない。

「何だい、そりゃ?暗いから気を付けるんだよ」
「分かってるよ。じゃあいってきます」
すっかり真っ暗になった陵桜学園への道を俺は走り出した。
先ほどの雑用で既に筋肉が悲鳴を上げているが、お構いなしに走る。

「ぜぇ〜ぜぇ〜」
もうちょっと運動した方がいいな・・・
自堕落さを呪いながらも、懸命に俺は学園までの道を走った。




「よし・・・まだ・・・開いてる」
息を整えつつ敷地内に入る。
校門こそ既に閉まっているが、その横の勝手口は開いたままだった。
ここまで閉まっていたら、不審者覚悟で校門を乗り越えなきゃいけないところだった。

『屋上で待ってる』
それだけしか書かれていなかったメール。
慌てて電話をしたが、コール音が鳴るだけで繋がらなかった。
つかささんに確認したが、まだ帰ってないらしい。
もうメールが来てから丸々2時間が経っている。
まさかもう待ってないだろう、きっと帰ってる最中だ、と思いつつも、俺は急いで屋上への階段を駆け上がった。

「はぁはぁはぁ・・・」
屋上に繋がる扉の前で立ち止まる。
再び切らした息を何とか整えようとするが、思うように整わないのは緊張しているからだろうか?

「すーはー」
深呼吸してから扉を開けた。

「寒っ!」
コートも着てない上に、汗をかきまくった身体には屋上に吹く風は寒過ぎる。
自分の腕を抱きながら、真っ暗な屋上を目を凝らして見渡す。

「いた・・・」
もうとっくに帰ってるだろう、と思っていたが、確かにそこにいる。
俺はゆっくりと花壇の淵に腰かけているその人に向けて歩を進めた。

「かがみさん・・・」
「遅かったわね」
俺の顔を見ずに俯いたままかがみさんは言った。

「ごめん・・・」
「いいわよ、別に。返事も聞かずに呼び出したの私だし」
ずっとここにいたのだろう。コートを着ているとは言え、少し身体が震えている。

「それに・・・」
「それに?」
しばらく沈黙が続いたが、その後に続いたのは予想外のセリフだった。

「来てくれたでしょ?」
そう言ってようやく顔を合わせてくれたかがみさんの頬は暗闇でも赤くなっているのが分かった。
寒さで赤くなってるだけかも知れない。
だけどそうじゃないと、俺は決めつけていた。




「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
互いに見つめ合ったまま時間が流れる。
多分1分、いや30秒も経っていないのだろうが1時間にも2時間にも感じた。
そんな長く感じる時間は、かがみさんが口を開いたことで終わりを告げた。

「これ・・・」
それだけ言って、かがみさんは横に置いてあった箱を差し出して来る。
その箱には綺麗なラッピングがされていた。

「ありがとう、かがみさん」
「うん・・・」
受け取る際に少し触れた手は冷たく、長いことここで待っていたことが分かった。

「すごく嬉しいよ」
「義理・・・じゃないからね」
俯いてそう言うかがみさんの表情は全く分からない。
でもきっと不安そうな顔をしているんだろうということは分かってしまう。

「俺かがみさんのこと好きだよ」
だから俺は安心するような優しい声を意識して、でも恥ずかしくて少し小さい声で言った。

「・・・え?」
「いやその・・・だから・・・かがみさんのことが好き・・・」
俺を見上げるかがみさんから目を逸らし、明後日の方角を見て言った。

「こっち見てよ!」
「は、はい」
再びかがみさんと見つめ合い、その瞳に吸い込まれそうになる。

「友達としてじゃなくて?」
「うん・・・」
「私、こなたやつかさと違って、料理の腕もいまいちだし、みゆきみたいに優しくないよ?」
「料理の腕はいまいちでも、かがみさんは優しいよ。俺はその・・・そんなかがみさんが好きだよ」
自分で言ってて恥ずかしくなって来た。

「う・・・。バカ・・・」
そう言ってかがみさんの頬が更に赤くなる。
そして瞳から大粒の涙が零れ落ちた。

「あ、あれ、かがみさん?」
「こ、これはその・・・。何でも無い、何でも無いから!」
そう言ってかがみさんはゴシゴシと袖で涙を拭った。

「それでその・・・返事聞きたいんだけど・・・」
「返事?」
「義理チョコじゃない、ってのは聞いたけど、それだけだもん」
俺はちょっといじわるな顔をしてかがみさんに言う。

「あう・・・」
また俯いてしまったかがみさんが、ポツリと本当に小さい声で言った。

「私も好き・・・」
「俺も好きだよ。俺と付き合って下さい」
「うん・・・。よろしくお願いします」
顔を見合わせて俺達は笑い合う。

ピリリリリリ

「うわっ!」
とそこで携帯がけたたましい電子音を鳴らした。
マナーモードにしときゃ良かった。せっかくいい雰囲気だったのに。

「ごめん、ちょっと出るね」
「うん」
相手は母さんか。まぁ用件は聞かなくても分かる。




案の定早く帰って来いという催促の電話だった。
空気を読んで欲しいもんだ。
寒い屋上から暗い校舎の中へ入り、俺達は階段を降りていく。
月明かりがあるせいで、真っ暗で何も見えないということは無い。

「そういえば、かがみさん携帯出なかったよね?どうして?」
「え?あ・・・教室のカバンの中だ・・・」
「それでか。俺怒らしちゃったかな?と思って焦ったよ」
「まぁ確かに2時間も待たされちゃね〜」
かがみさんはいじわるな顔で言って来る。
当然これは冗談だ。顔を見合わせて俺達は再び笑い合った。
そして俺達はかがみさんのクラスに行って、カバンを回収した。

「げっ・・・着信履歴だらけだ・・・」
「俺以外にも?」
「うん。つかさからたくさん。多分親からも言われて掛けてるんだと思う」
教室に掛けてある時計はもう18時半前だ。
確かにこの時期ならそろそろ帰って無いと心配するだろう。
しかも俺が不安煽るようなこと言っちゃったしな〜
明日つかささんに謝っとこう。




「くしゅん!」
「かがみさん、大丈夫?」
「うん。大丈夫、大丈夫。それよりコート着てないそっちの方が見てて寒いんだけど・・・」
「うん、実際寒いや」
汗が引いた分、先ほどよりはマシだが、身体は冷えたままだ。
しかも校舎内では風が寒いということも無かったが、外に出たらそうもいかない。

「寒いから手・・・繋いでいい?」
「そんな聞き方じゃヤダ」
プイっと顔を背けるかがみさんを可愛いと思いつつ、俺は彼女の手をとった。

「手繋ぎたいから、繋いでいい?」
「・・・繋いでから聞かないでよ」
「ダメだった?」
「・・・ダメじゃないわよ」
先ほど少し触れた時と同じで、かがみさんの手は冷たい。
多分俺の手も相当冷たくなってるが、かがみさんと繋いだ右手だけはどんどん暖かくなってるのを感じた。
それどころか繋いだ手から身体中が暖かくなっていくような気さえする。

「これからよろしくね、かがみさん」
「うん。こちらこそよろしく」
寒い夜空の下を俺達はゆっくりと歩いて行く。
きっとこなたさんに冷やかされたりするんだろうな〜とか考えると、ニヤけそうになった。





終わり

初めてのらき☆すた純粋SSです。
このクソ暑い時にバレンタインSSって頭悪いとしか言いようが無いな。
まぁ書きかけの奴を引っ張って来たんで、どうかご了承下さい。
主人公はPS2版準拠。自分を主人公に置き換えて妄想して下さい。
少なくとも自分はそうやって書いてました(ぇ
かがみん可愛いよ、かがみん。次も書くとしたらかがみSSですね。
それでは次回のSSでお会いしましょう。



                                          
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