ー水越家キッチン 2/13ー
「う〜ん・・・困ったなあ・・・」
水越家のキッチンで眞子は、板チョコを見ながら頭を捻る。
正直なところネタ切れであった・・・
さてこのチョコをどうしてくれようか?
「どーしようかな・・・」
自分で考えても思いつかないので、現代の利器に頼ってみることにした。
キッチンテーブルの上のPCを操作して、インターネットでネタを探す。
純一に渡すプレゼントを考えるのは、とても楽しい。でも、やっぱりネタ切れだったりする。
毎年渡すものだから、手作りで気持ちを込めればと思わないでもないんだけど・・・
毎回同じだと、渡されるほうも飽きるんじゃないかなと思うわけで・・・
検索エンジンに『チョコ』で入力して『Enter』キーを押すと7行目に『チョコレートWikipedia』とあるので、とりあえずWikipediaを覗いてみる。
チョコレートの種類や歴史が細かく書かれていた。
しばし見入る。
何かヒントは無いかと。
「う〜ん・・・特にないわね・・・」
確かにチョコについて詳しく書いていても、バレンタインのチョコの作り方なんてWikipediaに載っているわけはないのだ。
ため息をついて、他を捜そうとしたそのときだった。
一番上の『チョコレートの呼称』という部分に目が行く。
「へぇ・・・チョコって、元は飲み物だったんだ」
『日本語では、昔は液体のものをホット・チョコレートと呼び区別したが、ココアと呼ぶことも多い。』と書いてある。
「よし!今回はこれにしよう!」
そうと決まれば、行動あるのみ
「さて、頑張って作りますか〜」
嬉しそうに左手にチョコ、右手に包丁を握ると準備に取り掛かった。
ー商店街2/13ー
商店街の真ん中で、ポケットに手を突っ込んで唸る男
「う〜〜〜〜ん」
眞子へのプレゼントを考えているが、なかなか思い付かない。
今話題の『逆チョコ』はとっくの昔にやってるしな・・・
ちなみに『逆チョコ』は最近話題になっているみたいだが、実は1960年に森永製菓が大々的にキャンペーンをしていたらしい。
まあ・・・そんなことは置いておいて、俺としては2/14は眞子の誕生日という認識が強い。
手作りは、正直に難しい。
前回作った時はかなり大変だった。
でも折角のバレンタインだから、また作ってもいいかも知れない。
「今回も作ってみようかな・・・」
バレンタインに眞子とチョコの交換って、実は気に入ってたりするのだ。
「よし!決めた今回も作ろう!」
ちょっと恥ずかしいけど、チョコ売り場に向かう純一だった。
やっぱり・・・この時期のチョコ売り場で男一人は視線が痛かった。
ー2/14 眞子の部屋ー
嬉しそうに演奏する眞子のフルートを久しぶりに聞いて、照れながらお互いのチョコを交換する。
いつもは学校の屋上だけど、今日は土曜日で休みだからいつもみたいに逃げ回る必要はない。
二人っきりで過ごすことが出来る。
「正直・・・下駄箱を開けるのが怖いんだけどね・・・」
苦笑しながら眞子は言う。
別に自意識過剰とかそういうわけじゃない。間違いなく2/16の下駄箱はチョコレート責めになるだろう。
「確かにな〜お前毎年凄いもんな〜」
凛々しい眞子は女の子のファンが多い。そのせいか、毎年山のようなチョコを貰うのだ。
「あはは・・・そろそろ簡便して欲しいんだけどね〜あたしには、純一がいるんだし」
照れながらそう言うと、眞子は純一の隣に腰掛ける。
2人用のソファーだから少し狭い、ぴったりとくっつく眞子にドキドキする。
「純一の作ってくれたチョコおいしいよね」
嬉しそうにそう言うと、食べかけのチョコをこっちに向ける。
「は、はい。あ、あーん」
「なっ、ま、眞子!?」
照れながらチョコを俺の口元に持ってくる眞子、すっごい可愛い。
お互いに真っ赤になりながら、チョコを食べる。
そして、時々キスをする。
「甘い、ね」
「ああ。すっごい甘い」
テーブルの上の『ホットチョコレート』からは甘い香り
隣の眞子からはもっと甘い香り
眞子をギュッと抱きしめる。
ゆっくりと流れる時間を楽しみながら、眞子の誕生日を無事に迎えることが今年も出来てうれしい純一だった。
終わり
巻き尺(赤沢啓)さんから頂いた眞子誕生日兼バレンタインSSです。
巻き尺さんあとがき
はい、お疲れ様でした。巻き尺です。何とか眞子の誕生日に間に合いましたw
描いてて、けっこー痒いっすw
出し尽くされている眞子の誕生日SSですが、自分なりに考えて描いてみましたw
Wikipediaの2/14のところに眞子が載ってて、少し笑ってしまいましたw
なにはともあれ、眞子誕生日おめでとう!w
管理人あとがき
巻き尺.COMとの相互リンク記念に頂きました。
全く眞子SSの増えない当サイトにとっては嬉しい限りです。
大変だだ甘なバレンタインSSになってますねw
ここまで甘いSSは精神衛生上余り良く無いので最近書けて無いです・・・