「よう、待ったか?」
「ううん、ついさっき来たばかり」
いつも遅れてくる朝倉君が、今日は時間通りに待ち合わせ場所に来てくれた。
本当なら当たり前のことなんだけど、朝倉君にしては珍しいこと。
ちょっと・・・じゃなくてすごく嬉しいかな。やっぱり好きな人とはいえ待つのは嫌だから。

「いつも遅れてばっかりだからな。それでデートが中止になったこともあるし」
「う〜ん、とりあえずどこか行かない? 話しは歩きながらでも出来るしね♪」
私は笑顔で答える。そう言うと、朝倉君がちょっと顔を赤くしていた。
朝倉君、そろそろ慣れてもいいんじゃないかな。いつも見ているんだしね♪

「こ、ことりはどこか行きたいところとかあるか?」
「私? 私は朝倉君と一緒だったらどこでもいいよ♪」
朝倉君は私の言葉にさっきよりも顔を赤くする。自分でも、恥ずかしいこといった気がする。
あはは、でも本当のことだから・・・ね。
こうして朝倉君と一緒にいることが日常となってきている。学校でも、休日でも。
昔の私には考えられなかったこと。人の心が読めて、本当の心を隠していた頃の私には・・・
朝倉君がいなかったら、今の私はいないと思う。ううん、いないって言い切れるよ。
自分のことを信じられなかった私に、大切なことを教えてくれた。

「そうだな、じゃあとりあえず映画でも見に行くか」
「うん、それで決まりっすね」
人を信じる心・・・大切な人想うことがどういうことかって。
朝倉君が私のことが好きだってわかるから、私は安心できる。
もちろん、朝倉君にも私が朝倉君のことが大好きって伝わっていると思う。
私か朝倉君のどちらかが好きって想っていることが分かれば、私たちはそれに答えることが出来る。
たまに喧嘩もするけど、それも二人の強い想いがあれば乗り切れる……よね。
あはは、弱気じゃダメだよね。うん、乗り切れるよ。そうだよね、朝倉君。

「ん? 俺の顔に何か付いてるか?」
私が朝倉君の顔をずっと見てたからか、朝倉君が聞いてきた。

「ううん、別に何もついてないよ」
顔には出さないけど、内心私は苦笑していた。こんなにも朝倉君のことを想ってるんだなって。

「そうか。じゃあさっさと映画観に行こうぜ。時間がもったいないしな」
そういって朝倉君は歩き始める。私も遅れないように朝倉君の後を追う。
追いついた私は、そっと朝倉君の手を握った。
朝倉君もかったるいと言いながら、私の手を握り返してくれる。
朝倉君を・・・感じるよ。こんな私だけど、これからもよろしくね♪





終わり

<HHさんあとがき>
何となく書いてみたのですが、とりあえずこれを元に新たな試みをしようと思っています。
というわけで、今回はこの辺で失礼します。また次回お会いしましょう。それでは。

<管理人感想>
『巡り来る季節の中で』と一緒に頂きましたが、ヒロインが違うので分けさせて頂きました。
ことりとのほのぼのデートいい感じですねぇ〜。HHさんどうもありがとうございました。



                                         
おまけショートショートストーリー〜とある日の二人〜
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