思えば『あの時』から私は思っていたんだ

『ずっと、ここままなんだ』と

『今は永遠に続くんだ』・・・と

でも・・・

『永遠』は逃げ出した











いつもそこにあった


いつも頼っていた


いつも一緒だった


いつも・・・そのてにあった『もの』











私の前からいなくなったんだ

この移りゆく毎日から

私の手の届かないところへ・・・


無くして気づく


失って涙する


探しては項垂れる










そして知る


『無』に値する恐怖を


暖かい『もの』


心地よい『もの』


素晴らしい『もの』

全てを失ってゆく










私は逃げ出した

怖かった

何もかもが怖くなった


道行く人が


友達が


みっくんが


ともちゃんが


貴方のことが・・・
















全ての人に忘れられてしまえばいい・・・

そんな風に思うことも何度もあった

自分の想いを封じ込めて・・・

でもその度に私は貴方を思いだして、思う





忘れたくない


忘れて欲しくないよ


ずっと・・・側にいて欲しいんだよ


でも


それが怖いんだよ・・・















逃げ着いた先は訪れ慣れた場所


いつものように寄り添い、歌う


詩を歌っているときは全てを忘れることが出来た


そう・・・忘れることが・・・出来たのに・・・














『忘れたくない』


忘れたくないよ・・・


ずっと・・・ずっと側にいたいよ・・・いて欲しいよ・・・


桜舞う木の下で私は1人泣き崩れた


次から次へと溢れてくる涙は頬の上を何度もトレースして地面に落ちる


どうすればいいの?


誰か・・・教えてよ・・・


誰か・・・助けてよ・・・


朝倉君・・・














大きく風が吹き地に落ちた花片が再び空へと舞い上がる


舞上げられた花片は一面を色鮮やかなピンク色に染めてゆく





その刹那


私には確かに貴方が見えた


そして歩み寄ってくる


歩み寄ってくる貴方はいつものように、私を包み込んでくれる穏やかな表情だった


「見つかっちゃいましたか・・・」


頬に伝う涙を腕で拭き取って、今出来る精一杯の笑顔で笑う


そんな私を見て貴方は言った


「素直に、話そう」





















ずっと望んでいた瞬間


でも・・・どうしてこんなに悲しいんだろう・・・


1つ1つの言葉に涙が溢れてくる


封じ込めていた自分の想い、打ち明けた


凄く怖かった


答えの分からない会話


まるで暗闇を手探りで進んでいるようで・・・


「私は・・・もう・・・分からないよ・・・」


最後にそう言って口を噤んだ















「ことり」


口を噤んでから暫く・・・


発された声はとても穏やかで優しいものだった


「今から言うことは、偽りは1つもないから残さず聞いてくれ」


「・・・」


私は無言で頷いた


でも互いに木と木に背中合わせ、仕草を見れるようなことはない


それでも彼は言葉を続けた


私の全てを知っているかのように


「今のことりに辛い事だって言うのは分かってる。でも聞いて欲しい」


「・・・うん」




















「永遠はあるさ。きっと」


私は・・・


「俺の気持ちは変わることは無い・・・。ずっと、一緒だ」


私は・・・何を・・・?


その一言に『何か』が満たされてゆく


「ずっと・・・側にいて欲しい」


表現できない確かな『何か』が私を満たしてゆく



私は・・・


何を・・・望んでいたんだろう・・・


「俺は、ずっと側にいる」


こんなに素晴らしい『今』がある


なのに・・・どうして・・・


どうして私は逃げていたんだろう・・・


分からない・・・


でも・・


でも、今は・・・





確かな貴方を感じる・・・感じます



すぐ側に・・・



貴方がいるということ



ここにいること



側にいること



貴方といること



私といること



貴方の近くで



私の側で



確かな温もりを感じて



その腕に包み込まれる



この腕で包み込む



他愛のない毎日



他愛のない言葉



愛に溢れた毎日



愛に溢れた言葉



柔らかな声



確かな温もり



私を・・・こんなにも幸せにする



ここにいること



側にいること



ずっと一緒に



貴方といること



今この時は



この瞬間は



ずっとずっと



失いたくないから



私はここにいるよ



貴方が喜ぶときも



貴方が悲しむときも



太陽が貴方を照らすときも



月が貴方を照らすときも



私は貴方を見ています



貴方がどんなに遠くても



貴方がどんなに近くても



貴方が私と違う風に包まれても



貴方が私の知らない星の下にいても



私は貴方を想っている



私はいつもここにいるよ



『ここ』にいるんだよ










この人とずっと



寄り添って生きていこう



貴方と出逢えたこと



貴方と話せたこと



貴方と笑えたこと



貴方と歩けたこと



貴方を愛せたこと



貴方に愛されること



それが



私の幸せ





終わり

くれないさんあとがき
はい。ことりSSです。どっちかと言うと詩に近い物を感じますが、SSのつもりです(汗
題材は『原作を上手く使いつつオリジナル』
所々で原作シナリオを使っていますが、オリジナルも多くかみ合わせています。
しかし、ことりのEDはSSが書きやすい(?)ですね。
とは言っても簡単に書けるのでは無く、自己で想像をし易い、と言ったところでしょうか。
まぁ、それが出来に反映してくれたら良いんですけどorz

正直コテコテのSSよりもこういった感じの方が得意なんですよね。
なんと言うか、頭の中にフレーズ的な物が浮かびやすいというか・・・
今後も短作はこんな感じで書き上げていくと思います。課題は山積みですorz



                                        
いつか望む永遠
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