見慣れない雪景色


見慣れた吐息の白さ


寄り添い歩む二人の隙間を埋めるように


私は腕を絡めた


見上げた空は白く、美しく染まっていた


刹那、頬に舞い降りた粉雪


粉雪は熱く火照った体に触れただけですぐに溶けてしまった


寄り添い合う大切な理由


今はもう良い思い出










心が読める―


私にはそんな魔法のような力があった


けど、大きな桜の木が枯れてしまうと同時に私の能力も枯れてしまった


皆の心が・・・考えていることが分からない


怖かった


恐怖に押しつぶされそうだった


私は走った


無我夢中で


何もない、何も見えない漆黒の街を、桜並木を


ただ走り抜けた

そしてたどり着いた桜の木


何も言葉に出来ない威圧感が轟々しく放たれている


つい先日まで枯れない桜として名を馳せていたこの木には、もう桜の花片は・・・もう無い


悲壮感の募るこの眺め





どうして私の『力』は失われてしまったの?





どうして私の『力』を奪ったの?





私の『力』を・・・返して―





そして風が吹いた


その風に舞う舞う花片もなく、風ただは私の髪を弄んだ


その中で私はただ・・・泣いていた











サクサク、と草を踏みしめる音が聞こえた


涙を急いで拭き取って足音の方へ振り返った


そこには最愛の男性がいた


「見つかっちゃいましたか・・・」


「なんとなく此処だと思って、な」


あの時の貴方の目は哀しそうな瞳をしていた


そして私は貴方に本当の事を話した


貴方は戸惑っていた


でも、貴方にも同じように不思議な力はあった


だから貴方は私の言う事を1つ残さず受け止めてくれた


そして私はまた泣いた


真実を全て打ち明けた


辛さを全て打ち明けた


その時心の底から涙が出た


本当に怖かったから


でも貴方は言ってくれた





『怖がる事なんて・・・ないんだぜ?』





『俺がいる』





『問答無用で好きだ』





貴方の言った言葉の1つ1つが私の中の『ナニカ』を満たしてくれた





私は知った





私は逃げていただけなんだ





皆から





お父さんお母さんから





お姉ちゃんから





みっくんから





ともちゃんから





そして・・・貴方から





皆ありがとう





私をずっと支えてくれて





皆ありがとう





私を好きでいてくれて





たから私は変われます





今日ここで、貴方の側で、私は変わります


『今』と云う瞬間までの柵は白紙へと回帰る


私は素直に・・・生まれ変わることが出来ました


お姉ちゃんの結婚式で真っ直ぐに歌えました


全ては・・・貴方のおかげです


貴方と出会えたことで私は・・・










それから―


心が読めなくなってから私は貴方とすれ違う事、衝突すること、幾度と無くありました


いつも・・・


そう、単純で、くだらない事がきっかけでもめました


貴方を傷付けたくない・・・会話が途切れて訪れる静寂・・・切ないよ


伝えたい想いを言葉にしても不器用すぎて、いつも話の邪魔をする


こんなにも好きなのに伝わらないこの想いが・・・切なくて


『愛してる』


以前までなら簡単に言えてた言葉も今はすぐに出てこない


でも今なら言えるよ貴方のために


『愛してる』と


貴方が私の隣でずっと笑ってくれるなら私もずっと笑っていられる


この願いが叶うなら、私はもう何も望まないよ





互いにすれ違い傷つけ合う日もある


けど・・・


『一緒にいたい』


そう想う気持ちが私達をいつでも引き寄せてくれる


その気持ちがまだ知らない明日へと繋がっていくんだ・・・










変わった日常


すぐには慣れることは出来なかった


道行く人の視線に耐えられなくなり貴方へとしがみついた


貴方は何も言わずに私を抱きしめてくれた


その度に私は勇気が出たんだよ


精一杯気を張って、背伸びして、虚勢を張って、平静を装っていた


余裕なんか無いのに貴方の前では無理に笑顔を作っていた


すべてを見抜いている貴方の瞳は美しくて・・・


逢えない夜は決まって寂しさと孤独が私を襲う


貴方を想うが故に不安になる・・・こんな気持ちが悲しくて・・・


『ずっと私の側にいて』


あの時言ったこと、言うことを躊躇った気持ちも・・・嘘じゃないよ


それでも貴方を信じてゆこうとする想い


無くしてしまわぬように・・・壊してしまわぬように・・・


こんなにも貴方のことを好きになってしまった


その事が本当にうれしくて、うれしくて


この先何があっても、どんな障害があっても


貴方と共に歩んでいきます


繋がれたこの想いと気持ち


もう・・・離さない


ずっと・・・一緒だよ










出逢えたことから全ては始まった


ほんとに・・・ほんとに・・・嬉しかった


傷つけあう日もあるけれど


『一緒にいたい』


そう想えることが


私と貴方の絆を強く・・・強く・・・引き合わせるんだよ


これからも


2人で同じ道を 歩けたらいいな


ずっとずっと ・・・


貴方のとなりで ・・・


同じ歩幅て、同じリズムで 、手を繋いで歩いていたい


貴方と一緒なら どんなことも 乗り越えられるよ


なんでだろうね


貴方の笑顔見ると 私、頑張れるんだ


私にとって貴方は・・・


私も貴方にとって、そんな特別な存在に・・・なれてたらいいな





これから・・・





ずっと ・・・





そばにいたい





ずっと ・・・





同じ夢をみてたい





2人の想い





2人で過ごす時間





2人で描く未来





2人で歩いてきた道





全部・・・





全部大切にしたい





ずっと





ずっと・・・





貴方と共に・・・






終わり

くれないさんあとがき
前々から書こうと思っていた内容のSSです。
出来は満足です。過去の作品の合わせた中でも。
途中のフレーズはEvery Little Thing 『fragile』から。私の好きな歌です。
今作には原作で描かれていない箇所を自己流に描いたりもしてみました。
どうとって頂けるかは謎ですが、良いようにとって頂けると光栄です。



                                        
出逢えたことから全ては始まった
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