D.C.外伝『ハルと呼ばれる少年』第5.6章
「シバ」A
「あたし、一体何話ぶりの登場? てぇい!」
「おはようございます〜ぅ」
「ふんごぉっ!」
朝からダメ出しを受けられていた。
場所は天枷研究所の中の俺の部屋。そういえば、毎朝俺と一緒に登校するといった当番があるんだった。
俺を起こしてくれたのは、忘れかけていたハルちゃんファンクラブNo.011、 No.012水越眞子さんと萌さんだった。
部屋に入るなり俺は眞子さんにいきなり飛び乗られる。熟睡していたところなのに、一気に現実に引き戻されてしまった感じだ。

「な・・・何だァ・・・?」
「何話あたしたちをほっといたっていうの!」
「いや、俺に言われても・・・」
どうやら作者から眞子さんの存在が消えていたらしい・・・。
今俺が言えるのはそれしかない。あとはエピソードがない、というところだろうか。

「本来のD.C.でなくてはならない人って、あたしたちでしょ!」
「いや・・・あの、そのォ・・・」
「何で関係もない人たちを連れてくるの! あたしたちを忘れないでよっ!」
関係のない人って・・・おそらくは成田やこまちちゃん、彩乃、悠希、酒々井、久住、姐さん、シバのことだろうな。
考えてみれば増えてきたな、オリキャラ。

「いや、今こうしてストーリーに出てますけど・・・」
「じゃあ、今日はあたしとお姉ちゃんのメインのストーリーってことで」
「ありがとうございます〜。ということで、今回は私の冠番組の『今日のお鍋』というストーリーで・・・」
「ちょww 勝手にストーリー変えるのやめてくれます?」
俺は散々悩んだあげく、言えることはこれしかみつからなかった。そう、次の本編のヒロインを眞子さんに・・・・・・できるのか。

「眞子さんのエピソードは次の6章で出しますから。
ほら決まってたでしょ、6章、7章、8章という少数のないエピソードは本編で、俺とヒロインのストーリーだと・・・」
「そういえば前にそんなこと聞いたっけ」
眞子さんは人差し指を顎について考えていた。

「眞子さん、忘れちゃ困りますよ」
あれ、この小説って・・・学園モノだったよな?
作者に一言言っておく、これはあくまで学園モノの恋愛小説だ(D.C.と同じで)
本来のスタンスを忘れないでほしい・・・。

「まぁいいわ。6章では絶対あたしにしなさいよ」
ただ、何か本編と短編集に繋がりが最近なくなりかけているような気がするんだよな。
読者がどんどん去っていくような気がして俺、涙が出そうだぜ・・・

「ちょっと、あたしの話聞いてる?」
あれ、この小説って・・・学園モノなんだよな?









「今日は・・・あの怖い人、いないよね?」
「音夢姉ちゃん、そんなに俺にくっつかないでください。歩きづらいですよ」
今日の登校当番は眞子さんと音夢姉ちゃんだった。萌さんは学年が違うため、テスト休みだった。
音夢姉ちゃんは俺の裾にしがみついて離れなかった。
俺は半ば音夢姉ちゃんをひきずったような状態で学園に向かっていた。

怖い人、おそらくシバだろう。
シバはこうして風見学園に転入したのだが、早速友人がつくれずにいた(むしろ、つくろうとしなかった)
誰とてフレンドリーに扱う美春でさえも、シバを扱うのにかなり苦戦していた。
シバが教室から姿を消すと必ず涙目で俺にすがりついてくる。そんな美春の泣き顔を何回も見ていた。さすがの俺も疲れる。

「しょうがないなぁ音夢は」
「音夢姉ちゃん、少し離れてくれませんか。腕にしがみつかれるとすごい腕が重いんですけど・・・」
裾に掴んでいたのが、いつのまにか俺の右腕につかまっていた。

「しょうがないでしょ、怖いんだから・・・」
「・・・弱虫」
ぼそっと俺は言った。

バシッ!

「痛って!」
俺は頬を平手で叩かれた。

「やめてよ、その言い方。あの男の人にそっくりじゃない」
あの人、どうにも音夢姉ちゃんはシバに対する禁断症状が出ているのかもしれない。

「ビンタまですることないでしょ。暴力反対〜反対〜」
俺はいつものように音夢姉ちゃんを茶化していた。音夢姉ちゃんはいつもながらムキになって口を尖らす。
眞子さんはそんな俺たちをみていた。

「アンタ達、仲いいのか悪いのかはっきりしないわね」
「これでも仲いいほ・・・」
「じゃれあっているだけです!」
俺の言葉をかき消すように、音夢姉ちゃんがきっぱりと断言した。

「姉ちゃん・・・それ、無理あります」
眞子さんは俺と音夢姉ちゃんの世界観にうまくなじんでないことを知りつつ、それをごまかすかのように別の話題に移した。

「そういえば春巳、美春ちゃんは?」
「ああ、美春なら朝早くから商店街に行ってますよ」
「美春と一緒でないなんて、ハルちゃんにしては珍しいね」
「音夢姉ちゃんこそ、よく美春と一緒にいるでしょうよ。まぁ、シバに会ってから最近俺に関わってこなくなりましたね」
「最近のハルちゃん、放課後によくあの男の人のいるコンビニ言ってるじゃない」
「久々だったんで、つい話したくなるものですよ」
「話すの、あの人」
眞子さん、わかってるのかわかってないのか、それでも興味津々にはいる。

「シバはああみえて、正義感はちゃんとあります。
窮地に陥っている状況がたとえ女の子であろうと、シバは相手の野郎をキレイに始末しますから」
「私にはそんな風にはみえませんけど」
音夢姉ちゃんがきっぱりとしらを切る。

「私はどうかな」
ふいに、眞子さんが俺と音夢姉ちゃんの前で仁王立ちで何か自信に満ちていた。

「どうしたの、眞子?」
「そのシバって人、どんな人かみてみたい」
「眞子さんにしてはそういうのに興味があるなんて珍しいですね」
「だって、私の出番がもしかしたら以降出番なしかもしれないじゃない。もっと出ないと!」

確かに、最近は俺の旧友の登場で本来のD.C.のヒロインが出てこなくなったなんて問題が発生してるけどな。
いやいや、D.C.のヒロインをもっと観たければ「D.C.」とか「D.C.S.S.」とか「D.C.P.S.」、「D.C.F.S.」、「D.C.S.V.」、「D.C.W.S.」観りゃいい話だろうが。
こっちは外伝なんだから出てこなくて当然。つーか外伝と明記してるのに、普通に本編キャラが出ているのって、どうよ!

「まぁ、眞子さんなら男っぽいところもありますから、シバは受け入れてくれるかもしれませんね」
「ちょっとそれ、どういうことよっ!」




結局、昼休みに俺は音夢姉ちゃんと眞子さんの3人でシバがバイトしているコンビニに行った。

「いますよ、レジにいます」
「昼は1人なんだね」
「よしっ、当該者発見したところで敵情視察!」
「って、ちょっと、眞子さん!」
眞子さんはコンビニに突入した。

「・・・せー」
シバが重い口調で挨拶する。

「ちょっと、アンタ全然聞こえてないじゃない」
「!?」
眞子さんがコンビニに入るなり、シバに叱咤する。音夢姉ちゃんも俺も眞子さんの予想外な行動に驚きを隠せなかった。
さすがのシバも何か嫌悪そうな表情で眞子さんの声を聞いている。

「何やってんですか、眞子さん」
「だって、私お客さんだよ。あんなおもてなしないじゃないの!」
「そうですけど眞子さん、早速ウザイ客になりかわってますよ」
「・・・」
シバは矛を刺すような鋭い目つきで眞子さんを睨んでいた。

「何よ、その目は。それがお客さんに対する態度?」
「・・・」
「あ・・・あの、あ・・・」
音夢姉ちゃんはというと、出入り口ドアの付近で固まっていた。

「音夢姉ちゃん、そんなとこにいると他の客に迷惑かけますよ。
兄貴に対するSっぷり、見せてくださいよ」
「そんな・・・怖いよ・・・ハルちゃん・・・」
小声で俺に訴える音夢姉ちゃん。完全に小さく俺にまとわりついていた。

「やめなって、音夢姉ちゃん」
「やだ、怖いよ」
シバのオーラに押されてきているのがわかった。

「眞子さん、音夢姉ちゃんの面倒ちょっとみてください」
「あ、まだ話は終わってないわよ!」
「いいですから! こっちはこっちで話すことがあるんです!」
俺は眞子さんを音夢姉ちゃんのとこに行かせ、シバにこれまでのことを話した。

「・・・何だ、あいつら」
「お前を見たいんだってよ。俺は連れていかれただけだ」
「・・・あんな女がいたとはな。余計なお世話なことだ」
「お前、コンビニはどうよ。似合わないんじゃねーの」
「・・・それなりに行ってる。金のためなら何だってしてやる」
それにしても本島に戻るまでの資金はもう調達できているはずなのに。なぜまだバイトするのだろうか。

「金なんて何に使うんだよ。1週間もバイトつきっきりでしてよ。船乗れる分のお金はあるだろ」
「・・・覚えてないのか、お前。
あと10日であいつの命日になるってのに」
「あいつ・・・―――」

そいつはかつて、俺とシバと一緒に遊んでいたことがある女の子の命日・・・。
そう、スーパーでシバが知り合った女の子。容姿は子供っぽかったが、実は俺らと歳が2つ下だったのだ。
シバが女の子と接触したことのある唯一の人・・・。
だが、その女の子は元々病弱で体育の授業はいつも参加していなかった。
ずっと通院しながら学校にも来ていたが、ある日病気の悪化で入院することになった。
入院し始めて1週間、病状が良好に推移することもなく彼女は息を引き取った。
最後までその女の子につきっきりだったのが、シバだった。俺が来た時には既に亡き人になっていた。
いつのことだったのだろう、しばらく経って俺はその女の子のことを忘れていた。『春巳組』のことしか俺は考えていなかったから。
だが、シバはちゃんと覚えていた。女の子嫌いなシバでも、あいつのことは覚えていた。
一時期はドタキャンされたことにより裏切られたことで、絶交になったこともある。
それが理由でシバは女嫌いになった。という説もあった。しかし、その程度では・・・な。

「なぜ今更・・・」
「・・・あいつも女だ。別段、あいつのことは俺は好きってわけじゃねェ。
女なんざ鼻であしらうかのように笑う人類史上最悪な奴らだ。地球上でな」
2次元オタが言いそうな発言だな、オイ。

「・・・女なんざ好きじゃねェ。あいつのことも別に何とも思っちゃいねェし、お前と一緒にいても何とも思っちゃいねェ。
ただ、あいつのことを仲間と俺は思ってる。だからこそ、仲間だからこそ俺はあいつを死後もついてやる。
仲間なら1人ぼっちにさせるわけにはいかないだろ」
シバが熱弁しているところ悪いが、所々矛盾しているような感じするけどな・・・。

「んで、何を買うんだ?」
「・・・お好み焼き20個」
「アホか?」
「・・・それぐらい出さないと、あいつに怒られる」
「とりつかれているんじゃねーの」
「・・・別に」
と、眞子さんと音夢姉ちゃんのところがやけに騒がしくなっていた。3人くらいの派手なスーツの男が現れた。

「おい、店長いるか?」
何だ、借金取りか?

「ほら、店員なんだろ。お客さん待たせちゃいけないだろ」
「・・・」
シバは溜息つくなり、レジに戻る。

「・・・店長はただいま昼休み中です」
「だったら、そこのレジの売上でいいから出せ!」
「・・・そんなことしたら店長に怒られます」
「金出せってんだ! 早くしろ!」
「・・・そっちと店長の事情はわからないんで早くできません」
「いいから出せよ!」
どうやらトラブルになってんのかな、こりゃ。手助けが必要か。
と、1人の男が音夢姉ちゃんに目を向く。

「おい、この女けっこうかわいいぜ」
「だったら捕まえろ」
「え、きゃっ!」
音夢姉ちゃんの腕を掴み、放そうとしない緑色のスーツ男。眞子さんがその腕を放させようとしてみるが・・・

「やめなさいよ!」
「そっちの女もついでに捕まえておけ」
「ついでって何よ! あ、やめなさい!」
眞子さんはあっさりとつかまってしまった。

「金渡せないのなら、この女2人を人質にするで」
「・・・勝手にしろ。俺は関係ない」
「おいっ!」
「何だ、てめェは」
全く加勢しないシバに俺は我慢の限界を超え、そのスーツ男に声をかけた。

「この店からな、かつて俺らは金をかしてたんだよ。だがよ、もうあれから5年も経ってるんだぜ。我慢の限界だよ」
「そりゃもう時効だ。諦めろ」
「何だと、てめェ!」
「きゃあっ!」
スーツ男は懐からナイフを出し、俺に突きつけた。思わず音夢姉ちゃんが声を出してしまう。

「・・・」
「アンタらも金の使い方には注意しろよ。返ってこねーのはアンタらが怖いからにきまってるだろ。
もっと優しく訪問するんだな。それじゃ脅迫だ」
「てめェ!」
スーツ男が俺に接近する。が、

「!」
「・・・」
ナイフを持っている腕を、シバが捕まえていた。

「店員のくせして」
「コンビニ店員が、何ができるってんだ」
「その手を離しとけよ、警察呼ぶぞ」
スーツ男3人が、シバを茶化す。

「・・・店員? 俺はもう店員なんかじゃねェよ」
「何を言ってんだ」
「・・・この時間をもって俺は勤務終了。そしてこの日をもって俺はこの店をやめる」
バンッ!!

「痛ってェ!!」
シバも懐に拳銃を持っていて、その弾丸がスーツ男の脇腹をかすった。早撃ちだ。

「何やってんだ。店員だろ、てめェよ!」
「・・・だから、俺は店員じゃねーよ。春巳、やるぞ」
いきなりシバは俺にふってきた。

「はァ? ここでかよ」
とは言いつつ、俺も背後にまわり音夢姉ちゃんの腕を掴んでいた緑スーツ男の腕を掴み、捻る。

「いたたたたた、折れる。折れる〜〜!!」
「てめェ、よくも俺の大切な友達を悲しませたな。その腕、二度と使えなくしてやろうか」
「やめて、やめてくれ〜〜!」
「ありがとう、ハルちゃん」
スーツ男2人が悶絶している中、あと1人のスーツ男はというと・・・

「うごぉぉぉぉ・・・」
「弱いね、アンタ。女の子にモテないよ〜」
既に眞子さんの餌食にされていた。

「・・・やるな、お前」
「へっへ、これでもあたしだってやるときゃやるのよ!」
何だ、眞子さんとシバで何か絆ができちゃってるよ。

「くそォ、こうなりゃてめェら1人残らず店を壊してやる」
・・・何でそうなる。

「・・・春巳、女2人を連れて外に出てろ」
「了解。音夢姉ちゃん、眞子さん、こちらへ」
俺は音夢姉ちゃんと眞子さんを連れて店外に出る。

「ちょっと、何?」
音夢姉ちゃんが質問する。

「まぁここで観ててください」
と、俺はまた店内に入る。音夢姉ちゃんと眞子さんは店外で待ったまま。
事の状況が眞子さんと音夢姉ちゃんはまだつかめていないようで、呆然としている。
やがて一通り準備を終え、シバと店に出る。

「何?」
すると、コンビニの中が白い煙で充満する。たちまち中にいた俺、シバ、スーツ男3人の姿が見えなくなる。
煙は逃げ場を失い、ドアの隙間から出てくる。換気扇から雲のように空に舞い上がった。

「煙幕だ」
「わっ!」
いきなり背後から声が聞こえ音夢姉ちゃんはびくっ!と反応する。背後には俺とシバがいた。
別に俺は音夢姉ちゃんを驚かせるつもりはなかった。俺らは裏口からまわっていたのだ。

「・・・」
「・・・ミッションコンプリート」
俺は音夢姉ちゃんと眞子さんに向け親指を立てる。
シバは胸ポケットから煙草を出し、ライターで火を点け口に咥える。

「・・・ふー」
「ちょっと、さっきの人たちは?」
眞子さんが恐る恐る店内の様子を確認する。

「・・・そんなの知るか」
「えええ!?」
驚愕している眞子さんを横目にシバは店を後にする。

「・・・帰るぞ、春巳」
「あーあ、また無駄な弾を使っちまったな」
「・・・ったく、ロクな店長を持ってしまった」
俺らは音夢姉ちゃんと眞子さんを残し、家路につく。

「・・・」
「・・・」
音夢姉ちゃんと眞子さんは唖然としたままであった。

「そういや、いいのか。お前ギャラもらってねーだろ」
「・・・ここにある」
シバはお尻のポケットから封筒を出した。

「いつのまに!?」
「・・・レジから抜いてきた」
「ウォイ! それ窃盗だぞ!」
「・・・正式な労働条約だ。働けば給料は入る。それは当たり前だろ」
「勝手に抜いてくるなっ! ケーサツ行け!」




結局コンビニはスーツ男達の不正行為のネタが次々とバレる結果となってしまい、警察によって逮捕された。
目撃者、参考人として音夢姉ちゃんと眞子さんは警察に連れていかれてしまった。
その後、俺は音夢姉ちゃんにこっぴどく叱られる始末なのであった。
白い煙を出したのはそのスーツ男達がしたと疑われている。俺の憶測ではシバがしたと思われるのだろうがシバ本人は、

「・・・しらん」

何も使ってないと言うのだった。実際昔からシバは煙幕使いではないことは俺もよく知っていた。
あくまで憶測だが、スーツ男が隠し持っていた煙幕がシバとの決闘中に流れ出てきたという説もあった。
が、結局煙幕の件は定かではない。




翌朝、

「・・・」
「おはようございます」
音夢姉ちゃんとことりさんがシバと学園の廊下で鉢合わせになる。

「・・・」
「昨日は助けてくれて、ありがとう・・・ございました」
音夢姉ちゃんが声を少し震わせながら、シバにお礼を言った。

「・・・別に」
「はァ〜」
音夢姉ちゃんが小さくため息をつく。

「・・・」
「・・・」
会話の中に、沈黙が流れる。が、シバも音夢姉ちゃんもその場から離れようとはしなかった。先に口にしたのは・・・

「・・・春巳の仲間だから」
意外にもシバだった。

「え?」
「・・・二度も言わせるな」
シバはシバなりに少し照れていた。
女は嫌いでも、俺の仲間なら心を許すのだろう。
現に、かつて俺とシバと仲よかった女の子もシバはあくまで仲間として接してきたわけなのだから・・・

「・・・仲間だから助けてやっただけだ」
「!」
シバもシバなりに音夢姉ちゃんと仲良くしていくだろう・・・おそらく。

「あの・・・」
ことりさんがようやくこの重々しい会話の中に賛同したが、

「・・・さらば」
シバがことりさんに見向きもしないまま帰った。

「・・・というのは、ウソ」
と、振り向く。
何ともシュールなこの冗談は周りを凍りつかせてしまったのだった。

「・・・お前も、春巳の仲間か」
「はい、ハルちゃん大好きです」
「・・・好きなら・・・ライバルだ」
「・・・え?」
ことりさんはこの時、シバと俺は何か一線を越えた関係なのかと妄想するのであった。




「駄目ですよ、好きだとか言ったら」
「ハルちゃん、あのシバさんとはそういう・・・関係だったのですか?」
ことりさんは音楽室に俺を呼ぶなり、そんな会話をしていた。

「そういう関係って、どんな関係ですか?」
ことりさんは頬を赤く染めながら俺に応える。

「その・・・同性愛とか・・・。BLっていう感じで」
「何言ってるんすか、ことりさん!」
「ひゃっ!」
俺が過剰反応したあまり、ことりさんが慌てふためいてしまった。

「ただそれは、俺が彼女とイチャイチャしているのをシバにとっては嫉妬しているだけってことですよ。
シバが『LOVE』になるわけないじゃないですか」
「そそそうだよね」
「まぁ、シバは『仲間』なら心開きますから心配しないでください。最初は扱いづらいところもありますけど・・・。ついでに、『ロリコン』です」
「そうなんですかっ!?」
さくらさんにはすぐに心を開くところをみれば、それしかあるまい。一言『気に入った』なんて言ったのだからな。

「ことりさんも、ことりさんなりに変なオヤジからセクハラされる対象に入っていますから、その時にでもシバに助けを求めればシバが
助けてくれますよ。正義感それなりにありますから」
そういえばシバの奴、『BL』って言葉知ってるんだよな。昔からの旧友にはよくこれからも気をつけんといかんな。







次回予告・・・5.7章。

何と・・・このシリーズに・・・あの女たちがやってくる。
さくらと同じ魔法が使える少女達の激闘。春巳達もそんな魔法少女と決闘する。
春巳、さくら、成田、シバはこの少女達に勝利することができるのであろうか。
と、他にもあの『銀』とか『魂』とか付く漫画とか、うぐぅとか、Luckystarとか薔薇乙女とか・・・。
最大プロジェクトが待っている。



あとがき
5.7章をお楽しみに〜

管理人から
作者の都合で忘れられる長編の伏線とか、登場キャラはよくあることですね〜
だから基本自分は長編は書かないようにしてます。ほぼ間違いなく忘れてるので。
お昼の放送も全然伏線とか張りませんでしたし。短編でも忘れることがあるという脳になってるのが困りものです。
次回はいろんなキャラがごちゃ混ぜに登場するクロス作品です。いったいどうなることやら・・・



                                        
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