D.C.外伝『ハルと呼ばれる少年』第5.25章
「暴走車を捕まえろ!」A
「おい、行方がわかるのか、春巳」
「知るわけねェだろ。あっちは60km/hで飛ばしてるんだぞ」
俺と成田は校内に入り、車を追いかけていた。

「何か策はねェか・・・?」
とてもじゃないが、俺の脚でも追いつかない。
だが、目撃情報なら取れる。今は、みんなに聞くしかない。
あるいはこのリモコンを壊す・・・か。

「ならあれだ。目撃情報等の収集を・・・」
「ああ、それならとっくに思いついている。だが、この短時間じゃ聞く時間がない。やっぱり追いかけるしかない」
「よしわかった。では俺は附属を片っ端から探す」
「OK!俺は本校を探す」
そして俺と成田は分かれた。

「しかし、何かこれには裏がありそうな気がするんだよな。何で杉並先輩から何も連絡がないんだ。
それに冷静に考えれば、杉並先輩の扱っているパソコンが主電源なはず・・・」

怪しい・・・




「ふ、作戦成功」
「どういう意味だ、杉並」
「ぬっ、朝倉! まだここにいたのか」
「何か怪しいと思ってな。何の作戦だ、一体」
「お前に教えても何の益にもならん」
「いいから教えろ」
「しょーがない。事の始まりはある生徒同士の休憩時間の雑談だった・・・」




杉並によると、

「一度でいいからハル君と話したいなぁ」
「由子、あんたまだハル君と話したことないの」
「だって、顔見ると照れちゃって話そうとすることができなくて・・・」
「あたしたちこれでもハル君の先輩なのよ。ハル君を独占できる日はいつだってあるわ!」

廊下で話していた女子生徒の声を聞いた男子生徒が、

男子○「あ〜あ、まただ。ほんっとムカつく奴だよな、天枷春巳」
男子●「マジ俺ら2人でぶっ潰しちゃおうぜ」

春巳に対する嫉妬心から始まった。

男子○「それはどうかと思うがな。奴はかつて風見学園に来るまでは、不良とケンカして負けたことがないっていう恐ろしい男だ。
ある程度ケンカで勝てる俺らでも奴には勝てんな」
男子●「やらなきゃわからないだろ。一応俺、空手のクラブに入ってるし」
男子○「だがな、柔道部の先輩達にケンカをうられた時は、奴は10人相手をしてかすり傷程度で済んだ

男なんだ。それ以来、この風見学園の裏世界では奴は『組長』級に登りつめているらしい」
男子●「・・・」
男子○「そんな奴に、俺らが敵うわけないだろう」
男子●「・・・いや、手はある」
男子○「?」
男子●「奴の周りにいる女子だ。女子の人気を落とせばいい」
男子○「まぁ、それはそれで俺らの嫉妬心は消えるな。特にことり様と音夢様から嫌われるなんて、面白い描写だな」
男子●「だろ?そこで、そこでだ!」
男子○「ん?」
男子●「杉並先輩にそこを頼んでもらおう」
男子○「杉並先輩に?」
男子●「ああ、彼みたいな謎めいた人なら、俺らの野望を必ず果たせる」
男子○「まあな。杉並先輩、いや杉並様に任せてもらおう!」




「ん? 俺に」
「はい、ぜひともよろしくできないでしょうか」
「お前達、その野心はどこから?」
「いいんです、女子が天枷春巳を嫌うだけでいいので・・・」
「ふむ、ま、確かに暇つぶしにはなるな」




と、いうわけだ。

「・・・」
「別にたいしたことない。ハル坊が女子から嫌われるなんていうのはほんの一時。
言っておくが、俺がする目的はほんの暇つぶしにすぎん」
とは言っても、春巳がかわいそうすぎる。

「お前、何をしているのかわかってるのか!」
「心配するな、女子から嫌われるのはほんの一時と言ったはずだが・・・」
「俺だって、ことりを巡る恋敵としては確かに嫉妬とかするけど、そこまではしないぞ」
「それは本当か」
実はというと、影で春巳が女の子から嫌われる描写を想像していたりもしていた。
音夢にも手を出しているという噂を聞いた。義兄としてこれは制裁を加える必要がある。

「・・・嘘です」




さすがに相手が60km/hの爆走野郎だと、こちらもスタミナ切れ寸前だった。
30分も全速力で追いかけるのにも体力が要る。

「ぜェ・・・ぜェ・・・・・・」
息が切れ、俺はその場でへたり込む。

『きゃあ!! 何なの、この車!!』
『あっち行ってっ!』

そしていたる所で女子の悲鳴が鳴る。
おそらく、あの爆走野郎が女子の更衣室とかに突入しているのだろう。
俺はさっきからハンドルにブレーキをかけているが全く効かない。

「少し休むか・・・」
そして俺に駆け寄る一人の女性が・・・。

「大丈夫ですか〜?」
息を乱している俺の様子を見て、萌さんはただ事ではないと感じたのだろう。

「す、すいません。これ、持ってください」
俺は萌さんにRCカーのリモコンを渡した。

「何ですか〜。あ、これ、ラジコンですね〜」
要は責任転嫁だ。別に俺のものでもないし・・・

「あら、先から何か来ますよ〜」
俺は階段付近を確認した。よく見ると、階段を駆け下りてこちらに向かってくるRCカーではないか。
しかもよく考えてみるとあのラジコン野郎がどうやって階段を昇ったのか。
まさか、プロペラとか搭載しているんじゃないだろうな。

「プロペラが付いていますぅ〜」
・・・付いているのかよ。

「とにかく、萌さん。あのラジコンカーを止めてください。俺がいくら操作しても止まらないんです」
「え〜、私がですか〜」
「お願いします」
「はぁ〜。よくわからないですが〜・・・」
萌さんは適当に右スティックの位置を「左」に動かした。
すると、RCカーは止まった。

「と・・・止まった・・・」
「何だか楽しそうなおもちゃですね〜」
「いえ、この玩具に『楽』という文字はありませんけど・・・」
萌さんはラジコンに興味があるのか、車とリモコンをよく見る。

「それよりこれ、何でしょう〜」
「マル秘って書いてありますね」
「あ、押しちゃいましたぁ〜」
萌さんはリモコンの裏にあるマル秘ボタンを押した。俺は全くそれがあることに気づかなかった。
何が出るのかはもちろんわかっているが・・・




杉並「・・・始まりだ」




ビュッ!!

「げっ!」
何と車の前部から縄が出てきた。その縄は俺の腰にまとわりつく。そして縛られた。
しかし縄の結び目がなかなか硬く、俺の力でも外れない。

「も、萌さん。それください」

俺は萌さんからリモコンを返してもらった。

「名残惜しいですぅ〜」
「こうなりゃ、マル秘ボタンを・・・」
と、その時、勝手にラジコンが動き出した。

「な、なんだ!?」
ラジコンカーの排気口からは、空気を噴射していた。
何とこの機械、ロケットブースターが取り込まれていたのだ。

萌「これは・・・ジェット機ですか〜?」
そしてラジコンカーは推測120km/hで加速した。

「ぎぃぃぃぃやぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
ラジコンカーの縄に巻かれた俺の身体は、ガラスを突きぬけ外に出る。

「あ、頭がァァァ!!!!」
ガラスを抜けたとき、破片が俺の頭に突き刺さる!!
制服にも引っかかり、俺の服装はボロボロになる。だが、かろうじて男として大切な箇所は隠れていた。

「と、飛んでる、飛んでるぜ、オイ! 人間がとうとう空を飛んじゃったぜ」
ラジコンカーは更に加速を続ける。まさに、上空サプライズ!!

「おい、成田、杉並先輩!何とかしてください!このままじゃ、大気圏突入してしまいますよ!!」
『わかった、師匠に操作をお願いする』
「意味あんのか、それで!!」

ブツッ・・・!

無線を切られた。

「何だっつうんだよ!」

俺が飛んでいる下の校庭では俺の姿に気づいた生徒がみていた。
そしてみんな俺がこんなことになることも知らないため、反応もそれぞれ違っていた。

「きゃあっ! 春巳さん、危ないですわ」
「天使になったのですね、ハル様」

ハルちゃんファンクラブの会員である綾瀬彩乃(本校3年)、金町悠希(附属2年)もみていた。
※彼女達とのエピソードは後ほどに。




アリス「あ・・・」
美春「ハルちゃん、見つけた」




眞子「ちょっと、人間が空飛んでる!」
音夢「気のせいかな、ハルちゃんの頭から血が飛びでて・・・」




ともちゃん「は、ハルっち!?」
みっくん「何あれ、予行練習?」
ことり「ハルちゃんって・・・空・・・飛べるんだ・・・^^;」
みっくん「だけど、つぎはぎ姿のハルっちも何か色気あるねェ〜」




純一「作戦って、こういうことだったのか。
春巳を空に飛ばしてそのまま宇宙に飛ばすという・・・」
杉並「否。そこまで俺はSではない」
純一「春巳も充分Sだけどな」
杉並「そろそろいこうか・・・フィニッシュ!」




俺の身体はラジコンカーによって振り回されていた。
ジェットコースターと同じく、急に右にカーブしたり、その場で宙返りをしたり、急降下したかと思えば

また急上昇したりする。
頭が真っ白になりそうだった。
と、無線が入る。

『ハル坊、このままでは初音島を去ることになりかねん。あるいは宙に飛ばされるかもしれんぞ』
「んなこたわかってますよ。
って、どうすりゃいいんですか。このままじゃホントに宇宙に飛ばされますよ!」
『何かあったためにそのリモコンに〔あるボタン〕が備わっているって教えただろ』

俺は持っているリモコンを注視する。と、

「もしや・・・マル秘ボタン?」
『その通り、押せ! でないと危険だ』
「押す!? 押すと何が起こるんですか?ちゃんとこの機械止まるんですか?」
『ああ、そうだ。自動的に着陸する』
「わかりました」

杉並先輩の言うとおり、俺はマル秘ボタンを押した。

「げげっ!」

すると、リモコンの内部からカチッカチッと音が鳴り出した。
あからさまに爆弾じゃねェかァァァ!!!
俺はすかさず下に落とそうと考えたが、校庭をよくみると・・・

「女子しかいねェ!!」

何と、ものの見事に男が誰もいなかった。
くそっ、女の子に落とすわけにもいかねェか。

『どうした、押したのか!?』
「何か、時計の秒針みたいな音が内部からするんですけど」
『いかん、こちらのモニターからはそれはあと5秒で爆発する!』
「5秒!? つか、今ので1秒経ったからあと4秒かよ!!」

4・・・・・・3・・・・・・

『早く投げ捨てろ! 死ぬぞ!』
「わかってます!」

2・・・・・・1・・・・・・

俺はタイミングを図り、リモコンを投げる。

0・・・・・・―――




――――――




杉並「た〜〜〜〜まや〜〜〜〜!!!」
純一「あの爆弾に、いつのまに花火を・・・?」




音夢「あ! 爆発した!」
眞子「でも綺麗な花火だね」




美春「ハルちゃんが・・・ハルちゃんが・・・><」
アリス「大丈夫なのかな?」




みっくん「花火師ハルっちの誕生だね」
ともちゃん「ちょっと、ハルっちは大丈夫なの!?」
ことり「ハルちゃん・・・」




・・・・・・。

何と、爆発したのは俺が持っているリモコンではなく、ロケットブースターが備わっていたラジコンカー

だった。
目の前で爆発し、花火が散る。そして縄が千切れる。
そして俺の身体はまっさかさまに地面に落ちる。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」

その時、

美春「一同、整列!!」

何と、俺のファンクラブ員が俺の着地地点で待っていた。
しかし、なぜかそこには音夢姉ちゃんとかD.C.主要メンバーはいなかった。美春以外オリキャラのみがいた。

彩乃「ハル様。全力でお受けいたしますわ!」

俺を受け止めるつもりなのか。

悠希「きてください、ハル様!!」

そして落っこちる。

悠希「ふんぎゃ!!」

見事に彩乃と悠希は俺の下敷きになってしまった。

ハル「おい、大丈夫か?」
悠希「はヒぃ、大丈夫です」

俺はその場から降りようとしたが、

彩乃「あの、このままハル様と一緒に・・・」
ハル「俺の下でいいのか」
彩乃「構いません。踏まれてる感じが・・・あはァ!」

何だ、このSMチックな感じは。

彩乃「もっと・・・もっときてください」
悠希「ハル様、その服装すごくいやらしいです」
ハル「そ、そうか」

何かいつもながら、この2人の間にいるときはいけないことをしているように感じる。




ドンドンドンドン!!!

俺は本部に戻り、ドアを乱暴にノックをする。
ドアが開く。しかし、

ハル「杉並先輩!!」
純一「杉並なら帰ったぞ」
ハル「か、帰った?」
純一「逃げられたな」

一体今日は何だっていうのだろうか・・・。

ハル「今日はこの年で一番最悪な日だ」
純一「実はな・・・」

俺は兄貴から杉並先輩の企んでいたことを聞いた。

ハル「なんだ、そんなことでしたか」
純一「おい、やけに平気そうだな」

・・・。

ハル「これは少し・・・・・・





・・・・・・いたぶる必要がありますね」





純一「いたぶる?」
ハル「杉並先輩に言っていた男子は誰ですか?」
純一「ああ」

男子○と男子●の名前が兄貴の口から出てくる。

ハル「では、失礼!」

俺はドアノブに手を置くが、兄貴が止めた。

純一「ちょっと待った!」
ハル「あァ?」

俺は少しイライラしていた。

純一「・・・お前、陰毛見えてるぞ」
ハル「・・・!」

俺は自分の下半身に目をやり絶叫した。
何と、つぎはぎだった服が動くたびに剥がれてしまい、俺の大事な部分がわずかながら見えてしまっている。
ちなみに上半身は脱げてしまった。

純一「俺のジャージ、貸してやるよ」



ハル「行ってくるぜ、戦場にな」

俺のジャージ(素肌にジャージ)を着た春巳はコンピュータ室から去った。
音夢同様、春巳も裏モードに入っている。いや、ヤキモードといおうか・・・

純一「忙しい奴だ、あいつ」




男子○「みたか、天枷春巳のあそこ、丸出しだったよな!」
男子●「ああ、これで附属生・本校生の女子は幻滅だ」
?「・・・幻滅か」
男子●○「あ・・・天枷春巳・・・さん」

2人の声に震えが加わる。
俺は2人の襟首を掴むなり、空き教室に連れ込む。
そして、

ハル「これから『楽しい時間』の始まりだ。クックックック・・・」
男子○「ひぃぃぃぃ!!」
男子●「助けてェ〜〜誰かぁ〜〜(泣)」

その後、彼らは無惨な姿で生徒達に発見されることとなった。







あとがき
少し銀魂チックにギャグを入れてみました。
多少はBL系が入っていますが、気にしないでください。ほんの触り程度で入っているもので。
しかしながら、作中に『綾瀬彩乃』、『金町悠希』というオリキャラを出しましたが、まだキャラがつかめてないです。
「彼女達のエピソードは後ほどに」と書きましたが、もしかしたら製作中止になるかもしれません。
今はD.C.+なのは+はぴねす!+私の好きな漫画のコラボ小説に力を注いでいるので。
その小説では是非ともさくら・フェイト・杏璃とで絡めたいと思います。

管理人から
これBLが入ってるって言うんですか?真の腐女子からすれば鼻で笑われそうですが・・・
それとどうでもいいですが、私的に男子○と男子●は白、黒と読んでました。
しかしどう考えてもあそこが見えたくらいで人気が落ちるとは思えないんですよね。
それどころかむしろ逆に余計人気が上がりそうです。



                                        
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