「ただいま」
俺が研究所についた時、美春がどたどたと駆けてきた。

「ハルちゃん、教授が来てるよ」
「教授?」
「そう、名誉教授が来てるんだよ」
「あの・・・じじいか」

天枷名誉教授、若かりし頃は数々の発明で活躍を遂げた。
隠居し79歳の白ひげ爺さんになった現在、今でも発明は続けている。
しかしその発明というのが、俺たちを含め、人々に色々と迷惑をかけるばかり。
それに歳を重ねて寂しい思いをしているのか、相当なエロじじいにもなっている。密かにことりさんや萌さんあたりを狙っているらしい。

「特にハルちゃんに伝えることはないって」
「別にいい、俺だって話すことなんてない」
ハワイから帰国して何をやらかすのかは大体想像はできているが、どんな発明をするのかはわからない。




「おや、ハルか。久しぶりじゃな」
俺は教授の挨拶よりも、聞きたいことがあった。

「ハワイから帰ってきた目的を話せ」
「何を言っておる。かわいい孫たちの成長ぶりをこの目で収めたいからに決まっておるじゃろ」
「美春も随分成長したよ」

美春はめいっぱい腕をひろげ、成長した部分とかアピールしている。
まぁ、そう言われてみれば身長とか少し伸びたかな。
それに大きく成長した箇所というのも・・・

「あんたの目的なんて俺にはお見通しだ。さっきから美春の胸しか見てねぇじゃねェかよ」
教授は2年間の間に急激に発達した美春の胸を見ていた。
まぁ、ことりさんと比べてみてもあんまりわからないくらいになったかな。萌さんには及ばないと思うけど。
それなりに美春も女性らしいボディにはなったかな。

「何を言うか。お前さんだってじろっと見ておるじゃろ!お前さんの場合は、尻を見ておるな」
う・・・、気がつけば俺も美春を見物していた。

「2人でそんなにじろじろ見ないでよ。恥ずかしいよ」
恥ずかしさのあまり、美春は自室に戻ってしまった。

「・・・変態じじい」
「お前さんだって、同類じゃ」
俺達はいつのまにか、鼻の下を伸ばしていた。




「あれから、研究室は使ってないのかえ?」
「ああ。まぁ使ったと言うんなら、水が切れた時に使ったくらいかな」
「水・・・? 水なんてあったか?」
「知らん。研究室のことなんて、現教授とあんた以外知っている人はいないから」
だが、この後、教授は79歳にはみえないくらいにそそくさと走った。
何か感づいたようだった。ダンッとドアを開け、冷蔵庫を開けた。

「まさか、ハル、この中に入っていた液体の容器を・・・?」
「ああ、賞味期限が切れたと思って捨てた、昨日」
すると、教授は俺の胸倉をつかんだ。珍しく男勝りになっていた。
俺に飛びかかった。

「貴様、わしの野望をよくも失敗させてくれたな」
「あァ? 何の液体なんだよ。何に使うものか言えよ」
「ぬぬ・・・、まあいいわい。わしの監視不足じゃ」
教授は俺を置いてって、研究室を出てしまった。
俺は平然を装っていたが、実は、少し不安を残していた。
なにをかくそう俺は、あの液体を・・・――――




そして夜。
俺は寝ようとしていたが、ドアノックの音が聞こえた。

「誰?」
「わしじゃ」
俺は教授を部屋に入れる。

「何の用?」
「いやぁ、あれからことりちゃんや萌ちゃんはどうしてるかなと思ってな」
「ことりさん達に何をするつもりだ?」
「今は夏じゃろ。みんなもファッションが薄着じゃろうと思ったからな、
お前さんにことりちゃん達の写真を撮ってもらおうと思ってな。できれば水着姿も」
「それじゃ俺はただの変態だ」
「頼む。もう後の人生が少ないわしの願いじゃ」
「さっさとあの世へ行け」
「なぁホントに頼む。あの世へ行く前にせめておなごの身体を見たいんじゃ」

教授は土下座を始めた。
一応彼も名誉教授なので、こうされたら、拒否することができない。

「わかった。近々ことりさんにお願いして撮ってくるよ」
「おお〜、それでこそわしのかわいい孫じゃ」
もちろん写真を撮るなんて、全くの嘘。撮るなら勝手に一人で行ってこい。

「それが用件?」
「まァ、そんなとこじゃ。おやす・・・」
「ちょっと待て!」
部屋に戻る教授を俺は止めた。

「何じゃ?」
「昼に言ってた液体のこと、あれ、飲むと何が起こるんだ?」
「うむ? さてはお前さん、飲んでしまったのかえ?」
「・・・まぁな」
これだけは嘘なんてつけない。
生命に関わることなら危険だ。まさか、教授はそんな発明はしないと思うが。

「心配するな、命には心配ない。ま、明日を楽しみにすることじゃな」
俺、遊ばれてるのか?

「待てよ、教えろよ、あの液体のこと」
「おやすみ」
バタンッとドアを閉めてしまった。

「教授!」
俺はドアを開けたが、そこにはもう教授の姿はなかった。
逃げ足の早い奴め・・・




俺は寝床についたが、教授の言ったことが耳から離れなかった。




明日を楽しみにすることじゃな・・・・・・




明日を楽しみにすることじゃな・・・




明日を楽しみに・・・




明日を・・・





続く

あとがき
どうも、ハーディス@海です♪
4.9章で新たなキャラが生まれました。
天枷名誉教授です。
しかしこの教授、のほほんと見えて、実は変態です。
気をつけてください。
あと、ハルと教授はあんまり、仲がよくないです。

管理人から
教授の変態具合が面白いですね〜
そして何の薬なのかは題名まんまですし、みなさん想像出来ていることでしょう。
まぁこの教授ならそれくらい簡単に作れるんでしょうね。
全5話なんでたっぷり笑えます。次回もお楽しみに〜



                                        
D.C.外伝『ハルと呼ばれる少年』第4.9章
天枷教授のつれづれ日記「change to girl」@
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