D.C.外伝『ハルと呼ばれる少年』第4章
「愛について、頼子、美咲」A
頼子さんがいなくなって2年か・・・。

俺はこの猫の顎を撫でた。
猫は気持ち良さそうに微笑む。

?「・・・あ、あなたは・・・」

俺はこの猫の飼い主と目が会った。って・・・――――

ハル「頼子・・・さん?」

・・・にしてはおかしい。ネコ耳でもなければ、メイド服なんて着ていない。普通のおしとやかな女の子が着てそうな服を身に纏っている。
っていうより、頼子さんって、外出するのが苦手なんだよな。

美咲「頼子は私の飼っている猫の名前です。
私の名前は鷺澤美咲です」
ハル「美咲・・・さん」

いなくなったはずの頼子さんが・・・猫に!?
んでもって、俺が知っている頼子さんは、今ここにいる美咲さん!?
ますますわけがわからなくなっていた。

ハル「ちょっと待ってください。2年前に兄貴と音夢姉ちゃんの前に頼子さんというメイドさんが現れて、
俺の記憶が復活して、桜の木が枯れ始めた時に突然頼子さんがいなくなって・・・」
美咲「その頼子が今、猫となってここにいるんです」
ハル「え!?」

わ、わからない。この猫が・・・頼子さんだなんて。
猫を見ても、ぜんぜ・・・・・・はっ!

猫「にゃー」

俺はその猫の瞳で、確信した。

ハル「本当だ、頼子さんの瞳にそっくりだ・・・」
美咲「猫に『さん』付けはおかしいですよ」

美咲さんは「うふふ」と微笑み、俺の膝の上に乗っかっている猫を俺は撫でていた。

ハル「でも、よかった。こうして俺の前からいなくなった頼子に出会えて」
美咲「あの頼子は、私の体を使って、私の格好となって朝倉家に行ったのです」
ハル「何で、美咲さんの姿になって?」
美咲「さあ、私もその時はよく覚えてないのですよ。
でも、私はいつも純一さんと音夢さんの学校の登校姿を窓からみていて、あの2人が気になって仕方がなかったんです。
その時に、頼子の意識が私の中に入って・・・」

その辺りからは美咲さんは覚えていなかった。
それで頼子さん状態時にはネコ耳があったわけか。

ハル「そうですか・・・。
俺はてっきり、頼子はもう、この世からいなくなったのかと・・・」
美咲「え!?」
ハル「だってそう思うでしょ。突然俺たちの前からいなくなって、連絡もないし、情報もこないし・・・」
美咲「ごめんなさい。このことを言うのを――――」
ハル「まさか、兄貴には言っておいて、俺には一言もいわなかったとかっていうんじゃないでしょうね!」

俺は少々苛立ちを感じていた。
ずるいぜ、兄貴にはこの事実がわかっているうえに、美咲さんは兄貴に再会した。俺を忘れて・・・。
いや、音夢姉ちゃんにも、ちゃんとそのことを言ったのかよ。あと、さくらさん達にも。きっと音夢姉ちゃん達だって心配していたんだろうに。

美咲「ごめんなさい」

美咲さんは必死で謝っていた。
こんな些細なことで怒っていてもしょうがないか。
ま、こうして美咲さんに出会えたんだ。いいじゃないか。いや、再会したんだ。

ハル「いいですよ。
そういえば、美咲さんは兄貴と同じくらいの歳ですよね」
美咲「はい」
ハル「学校はどこに行っているんですか?
っていってもこの辺りって風見学園しかありませんよね」
美咲「私も、純一さんと同じ風見学園本校生です」
ハル「えええぇぇぇーーー!?」

し、知らなかった・・・。何で俺、気づかなかった・・・。
そういや、まともに上級生のクラスって考えたことなかったな。

ハル「美咲さん、貴方、いつ頃から、か、風見学園に!?」
美咲「朝倉家をはなれて1、2ヶ月経った頃・・・だと思います」

そ、そんなぁ・・・。
ってことは、俺はいつでも上級生のクラスのとこに行っていれば、美咲さんに会えたんだ。
何か、一気に後悔した気持ちになってきた。

美咲「あ、そうだ。ハルさん、貴方に言っておきたかったことがあるんです」
ハル「え?」

俺に、俺だけに言いたいこと?
何か、興味が湧いてくるなぁ。

ハル「何ですか?」
美咲「・・・私も・・・私も・・・。
私も、『ハルちゃんファンクラブ』に入れさせてください!!」

・・・・・・。

美咲「あの・・・」

・・・・・・。

美咲「ハル・・・さん?」

・・・・・・。

ハル「・・・美咲さんも、知っていたのですか」
美咲「ええ、結構学園内では有名らしいですよ。
ミスコンで白河さんや音夢さんが争っている中、その中立な立場として、ハルさんがいるとか・・・」
ハル「だ、誰が、そんなガセを」

俺は一瞬、ある男の顔が浮かんだ。杉並先輩・・・。

美咲「杉並君と美春さんですよ」

・・・おい。

ハル「美春もかよ!」

っていうか、ミスコンと俺は関係ないぞ。
よりによって、何でこんなすぐに学園内に広まっちまうんだ。

美咲「どうかしたのですか」
ハル「あのファンクラブは危険です。美咲さんは、あまり関わらないほうが身のためです。
俺だって逃げ出したいくらいなんですから」

あれは、軽いいじめのようだった(3.5章参照)

美咲「私、どんな危険からでも、絶対ハルさんをお守りします」
ハル「いや、ですからね、俺は守られることなんて―――」
美咲「私を入れさせてください!!」

何か、必死だな、美咲さん。

ハル「一応言いますけど、入っても何も得することありませんよ」
美咲「いいです。
ハルさんとは友達というわけもあるんですから」

まあ、それも1つの理由としてはあるな。
友達が多くなかった俺からすれば、友達の輪が広まることは良い。
しかし、美春が参謀を務めるようなファンクラブだからな。
いや、ファンクラブに反対しなかった俺もそこそここのファンクラブに悪いイメージは持たなかったかあな。
それに、参謀の美春より考えてみると、俺のほうが偉いんじゃないのか。
なら美咲さんは『春巳公認の参加希望者』ってことでいいんじゃないのか。

ハル「わかりました。美春に伝えときます」
美咲「ありがとうございます。
あと、頼子の分も入れてくれませんか」
ハル「頼子さんの分も?」

あ、今また「頼子さん」と言ってしまった。慣れないな。

美咲「ええ。お願いします」
ハル「わかりました。美咲さんって、頼子想いなんですね」
美咲「うふふ☆
では、また会いましょうね。ハルさん」
ハル「ええ、学園内でも会えるといいですね」
美咲「はい」

俺、気分転換に外に出たけど、外に出てよかったよ。
だって美咲さんに会えたんだぜ。あの2年前にいた頼子さんと同じ人にだよ。
得したよ、今日。それに、今となっては、2年前に頼子さんに言われた質問の答えもわかってきたような気がする。




美咲「そうだ、ハルさんは誰か好きな人はできましたか?」

今となれば、ことりさんかな。あるいは美春とか。いずれにしても告白はまだできないけど。
音夢姉ちゃんには兄貴がいるし、さくらさんは前途の通り、尊敬する人であって、恋愛感情は持ったことないし・・・。
うむむ、アリス・・・。アリスも実はというと、時々無償に可愛いと思う時があるんだよな。
あるいは、形的にファーストキスになった萌さん。胸大きいし、萌さんの作った鍋料理はおいしいし。
とはいっても、あんまり鍋料理って好きじゃないんだよな。
曖昧だけど、好きな人、見つかりましたよ。
あともう少し、みんなとの付き合いで、恋人を選びます。

ハル「俺の好きな人ですか? そうですね、俺の好きな人は―――」



No091.鷺澤美咲
No092.鷺澤頼子







あとがき
どうも、ハーディス@海です♪
結局、美咲もハルちゃんファンクラブに興味を示していました。
只今ハルちゃんFCは92人もいます。ことりや音夢のFCと同じくらい巨大なFCになったと思います。
・・・おそらく9割以上は女性だと思います。
さて、どうしたことでしょうか、3月3日現在、ネタは5.5章、6.5章、7.5章、8.5章しか思いつかず、
本編の五章、六章、七章、八章が思いつきません。
組成は少数なしが本編で各ヒロインのストーリーで、少数付きがサイドストーリーみたいなものです。
特に環やななこ、アリス、あたりが思いつきません。
アイシアは出さないつもりです(←いじりにくいキャラです^^;)

管理人から
ファンクラブがちゃんと継続してたんですね〜
もうすぐファンクラブも100人なわけですが、音夢やことりの方には何人いるのやら。
上のあとがきで分かる通り3月3日に送ってもらってます。約2ヶ月掲載が遅れてすみません。
すでに4.5章の方頂いてるので5月中にちゃんと掲載させて頂きます。
あと、環、ななこ、アリスのSSが思いつきにくいとおっしゃられてますが、これは自分も一緒ですね。
特にP.S.キャラの中で一番人気のある環がどうにも苦手です。
それでは次回4.5章で。



                                         
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