気分転換にと、俺は外を歩いていた。俺は桜公園のベンチに座った。
枯れた桜の木を見ながら、俺は改めてこの公園の周辺を見渡していた。
2年前のことを思い出しかけていた。
と、俺になついている猫が1匹。
その猫はどこか頼子さんを思い出させるような斑をしていた。
それと同時に俺は2年前のまだ朝倉家に頼子さんが居た時を思い出した。
俺がさくらさんの魔法によって記憶を取り戻してすぐのこと。
いつもと変わらず、朝倉家に行った時、
頼子「あ、ハルさん」
玄関に入って、メイド服姿の頼子さんが来た。
ハル「頼子さん。今日はあなた一人だけですか?」
頼子「ええ。音夢さん達は外出していますよ」
ハル「あぁ、そうですか」
頼子「何かご用件ですか?」
ハル「い、いえ。暇つぶしに来ただけです」
頼子「美春さんも?」
ハル「美春は、何か水越姉妹の家にお邪魔しているとかで・・・。家に居ても暇だったので、ここに来たんです。
何なら、何か手伝いましょうか?」
頼子さんはメイドとして兄貴の家にいるので、仕事を奪うような感じだと思ってはいたが、毎日毎日頼子さんだけじゃ大変だろう。
頼子「そうですか! ではお願いします」
どことなく頼子さんは嬉しそうだった。
頼子「では、お掃除をお願いします」
と、頼子さんは掃除機を俺に渡してきた。
掃除か、確かにこの一軒家の中を掃除するのは大変だろうな。
少しは兄貴達も手伝えばいいのに。
ハル「ええ、わかりました」
俺はまず、リビングに掃除機をかけた。
掃除機で掃除ならどうってことない。これくらいは家でもやっていることだ。
自慢の体力で1階全般を終え、すぐさま2階に昇り、兄貴の部屋、音夢姉ちゃんの部屋と順々に掃除をした。
音夢姉ちゃんの可愛らしい部屋で少し悶えたりもしたが、俺は何事もなかったかのように部屋を出た。
ハル「終わりましたよ、掃除」
俺は掃除を終えて、頼子さんに伝えた。
頼子さんは料理を作っていた。
頼子「ありがとうございます。随分早いのですね」
ハル「まぁ、体力には自信がありますから」
別にスポーツは大してやっていない。
小学生の時にサッカーや野球を少々していただけだ。
昔ながらの体力が今でも残っていることが信じられないくらいだ。
ハル「他に仕事はありますか?」
頼子「いいえ、今日はこれで終わりです。お手伝いありがとうございます」
ハル「いえいえ」
俺は頼子さんを見つめていた。
美少女、ネコ耳、メイド服・・・。
しかしながら、男の好みだらけだよな。頼子さんが外出できないのって、そういう男に囲まれたからなんだろうか。
だから、頼子さんはそれ以来、外に出るのが苦手になったのかな。
ハル「・・・」
この家で俺と頼子さんの2人っきり。
次第に俺は頼子さんの耳に興味を抱いていた。
俺の視線を感じた頼子さん。こっちに向いた。
頼子「あ・・・あの、何ですか? あんまり見つめられると・・・恥ずかしいです」
ハル「あ、す、すいません」
いつしか、俺の顔も頼子さんの頬も熱くなっていた。
ハル「頼子さん、外出するのが苦手な理由が大体わかりました」
頼子「・・・」
頼子さんはもじもじと下を向いている。
ハル「兄貴好みっすよね、頼子さんって」
頼子「え・・・?」
ハル「だってメイドだし、おとなしいし、胸おおきいし」
まあ、メイドが好きっていうのはわからんが・・・。
・・・俺、変態だな。
ハル「ふぅ〜、おいしかったぁ〜」
頼子「ごちそうさまでした」
昼飯を食べ終え、頼子さんが皿を片付けていた時、俺も無償に手伝いたくなっていた。
ハル「頼子さん、俺も手伝いますよ」
頼子「そうですか、ではお願いします」
自宅でも皿洗いくらいはしていた。
だからこれくらいはどうってこともない。
ただ、冬に近い季節になると水が冷たく感じ、手の感覚がなくなりそうだということがわかった。
これが冬になると大変だな。
頼子「あの、温水にしておかないと、手がかじかみますよ」
頼子さんは温水のほうの蛇口も開けてくれた。
親切だなぁ、頼子さん。
つーか、この家って温水付きだったのか。
ハル「ありがとうございます。ここが温水付きでよかったですよ」
頼子「普通の家庭には温水付きの水道があるんじゃないんですか」
ハル「あ、そうですね」
こうしていると、何か、頼子さんと同棲しているように見えるな。
頼子「何か、不思議とハルさんと一緒に同棲しているみたいですね」
ハル「ちょっと、変なこと言わないでくださいよ」
クスクスと頼子さんは笑っていた。
昼の休み。
頼子さんはソファに座り、俺はソファで横になっていた。
ふと、ある疑問が思い浮かんだ。
ハル「ねぇ、頼子さん」
頼子「なんですか?」
ハル「なぜ外に出ようとしないんですか?」
頼子「え!?」
途端、頼子さんはあたふたと慌てていた。
俺って、余計なことを言ったかな。案外、普通だと思ったんだけど。
ハル「だって、外に出ている頼子さんってあんまりみたことないから。
もしや、一回も出たことないんじゃないかなと思って」
頼子「え、え、え?」
ますます焦る頼子さん。
答えが見つからないのだろうか。
ハル「もしかして、頼子さんが外に出ている時に、ふいに誰かに刃物で刺されそうになったとか!?
それとも、痴漢にあったとか!?」
頼子「そこまでされてはいません」
思いっきり現実からかけ離れたこと言ってるな、俺。
ハル「血が噴き出たような事故や事件を見たとか・・・。
あるいは何か、変なことされたんですか?」
頼子「別に、何も・・・」
頼子さんは黙り込んでしまった。ここまでくると、大きな理由があるんだな。
それにしても、どうして俺ってこんなことしか思いつかないんだろう。
あまり深追いはやめたほうがいいかな。
ハル「ん・・・。ま、いいか。
早く外出恐怖症を克服しておかないと、いつか兄貴にも外出するように言われますよ」
頼子「・・・」
ハル「俺も力になりますから」
頼子「そ・・・そうですか」
ハル「ええ、さ、行きましょう」
頼子「え!? 今から行くんですか?」
ハル「だって、もう仕事も終わったし、後は何もないでしょ。
こういう時に撃退しておかないと、いつまでも外に出れなくなりますよ」
頼子「そ、そうですけど」
ちょっと、強引すぎたかな。
すぐにも頼子さんとどっか遊びに行こうとかしていたんだけど・・・。
どーせ、美春も音夢姉ちゃんも兄貴もいないし、暇なんだし。
さくらさんは、おそらく教諭で忙しいだろうし。
そこでことりさんや水越姉妹っていう手もあるけど、あの人たちの家がどこにあるのかわからないし・・・。
ハル「駄目ですか・・・」
頼子「・・・」
ハル「せめて、晩飯の買い物くらいはしておきましょうよ」
頼子「晩飯・・・」
ハル「そうです。晩飯をおいしく食べている音夢姉ちゃんと兄貴の顔がみたいでしょ?」
頼子「そう、ですけど・・・」
ハル「なら、行きましょう! 俺も一緒に御供しますから。
もし、怖かったらいつでも俺に言ってください。しっかり頼子さんをお守りします!」
頼子「でも・・・」
頼子さんは涙目で俺に言った。
ハル「何かあったんですか?
本当にふいに刃物で刺されたことがあるとか?」
俺は一度、そういうシーンをTVで見たことがあるから、しつこいとは思うが、頼子さんに言っていた。
頼子「それも怖いですけど、そんなことされてはいません」
ハル「俺にも言えない理由があるんですか?」
頼子「・・・」
ま、いいや。俺には関係なさそうだし。
ハル「この話は終わりにしましょう」
俺は頼子さんの耳を触った。
ほんとに不思議な耳だな。ネコ耳だなんて。
頼子「・・・っ!」
ハル「頼子さん・・・本物なんですね」
頼子さんは甘い声で反応した。
何か俺、ある意味変な気持ちになってしまったようだ。
頼子「コスプレではありませんよ」
ハル「ふ〜ん。こうやって改めて見ると、ホント頼子さんって綺麗ですよね」
頼子さんは頬を染め、俺を見つめていた。
頼子「そ、そうですか」
ハル「ええ、音夢姉ちゃんといい勝負ですよ。
これで音夢姉ちゃんの寝間着姿とかやってくれたら、なおさら頼子さんに惚れちまうなぁ〜」
無論、音夢姉ちゃんの寝間着姿といったら、素肌にYシャツだけのあの格好だ。
音夢姉ちゃんも案外、大胆にしている時があるんだな。とはいえ、重い本で起こされるのは辛いな。
頼子「えええ???」
頼子さんはさらに頬を赤く染める。
もちろん、冗談だ。
ハル「冗談ですよ、頼子さん♪
兄貴のメイドにそんなことさせるわけないでしょ」
頼子「もう、びっくりするじゃないですか。
冗談じゃなかったら私、本当に・・・」
ハル「・・・?」
まさか、本気で・・・!?
ハル「俺が本気でコスプレさせようと思ったんすか?」
頼子「え、ええ」
ハル「そんな威張る」
頼子「男の人って、頭の中ではいつもどんなことを考えているのですか?」
・・・え?
突拍子もない頼子さんの言葉に、俺は混乱してしまった。
ハル「そ、そりゃ、け、健全な、男の子は・・・」
な、何を言っているんだ、俺。
何としてでも、どこぞの変態が考えてることだけは避けたい。
頼子「健全な男の子は?」
ハル「健全な男の子は・・・普通に、好きな人のことばかりを考えているんですよ」
頼子「好きな人の・・・こと?」
ハル「はい」
頼子「ハルさんは誰か好きな人はいるんですか?」
ハル「え・・・?」
す、好きな人って・・・。
好きな人ならいるけど・・・本命が複数いるし、1人を選んだことはないな・・・。
ハル「俺の好きな人・・・」
ことりさん・・・音夢姉ちゃん・・・萌さん・・・いや、美春・・・。
この4人が本命、なんだろうか・・・。
さくらさんは「好きな人」っていうか、「俺が尊敬している人」っていうわけだし・・・。
頼子「はい」
迷っちまうよな・・・。そういうところは兄貴と一緒だ。
ハル「まだわかりません。俺が、本当に好きな人というのは」
こう言うしか、ないよな。
頼子「そうですか・・・」
ハル「頼子さんは好きな人はいますか?」
頼子さんは「え?」と、あたふたと慌てていた。
ハル「その反応、いるとみる」
頼子「い、一応いますけど・・・その人には・・・大切な人がいますから」
ハル「ははぁ〜ん」
もうその一言でわかった。
っていうより、ここでメイドとしている理由もよくわかった。
ハル「そっか、頼子さんは兄貴のことが・・・」
頼子「あぁぁーーー!!」
俺がその好きな人の言う部分で頼子さんは大声をだした。
ハル「そんなに恥ずかしいんすか?」
頼子「え、ええ。それはもう・・・」
頼子さんは恥ずかしさのあまりに、手で顔を隠してしまった。
ハル「でも、俺の予想は的中してたんですね」
頼子「そ、そうですけど・・・」
でも複雑だな、兄貴の包囲網は。
音夢姉ちゃんがいて、その隣人がさくらさん、そしてことりさん、水越姉妹、アリス、環先輩、ななこ先輩、叶先輩・・・。
特に音夢姉ちゃんとさくらさんは情がとても強い。
その中から兄貴を取ろうなんて、かなりの愛情がないとな・・・。
ハル「要はですね、男の子も毎回好きな人のことを考えているんですよ。
『あぁ〜、早く逢いたい』と授業中でも好きな人のことで、頭がいっぱいなんですよ」
頼子「へぇ〜、そうなんですか。素敵ですね」
ハル「世の中には、それなりの愛がないと、世の男性は苦しむだけ。
何か嫌なことが起き、それを解決するためにも、異姓と話すのが大事。その異姓が好きな人なら尚更です。
不思議と男の子というのは女の子と話すと、気持ちが落ちついたり、心がハッピーになるんですよ。
それは、まだ好きな人がいない男の子でもいえます」
あ、勝手に熱弁してた。
頼子「いいですね☆」
頼子さんは目を輝かせていた。
とはいっても、これ、俺が勝手に言葉をつなげた俺なりの作り話なんだけどな。
ハル「ま、早く行きましょう」
頼子「え?」
ハル「『え?』って、買い物ですよ。頼子さんの料理ってすんごくおいしいから、出前を取るなんてもったいないですよ。
だから、早速食材を調達しに行くんですよ!」
俺は頼子さんの手をを強引に引き、玄関に出た。
頼子「それだけはご勘弁を〜〜〜〜!!」
続く
あとがき
どうも、改名後初の投稿です、ハーディス@海です♪
今回の本編は2話です。正直、ネタが思いつかず、2話だけです。
最後の愛について熱く(?)語るシーンがありますが、これが私が作った文です。
決して、ス○ードワゴンの小○さんからのネタじゃありません(笑)
管理人から
こまちの出番があるかと期待してたんですが、残念ながらありませんでしたね。
でも、頼子さんの可愛さにちょっと悶えそうに・・・
個人的に頼子さんは結構好きな方なんですが、どうも猫耳とメイドってのに特別な付加がそこまで掛からないもので・・・
それでもことりに猫耳とメイド服が付けばさらに悶えるであろうことは間違いないとか思ってます。あと眼鏡も。
今回も掲載が遅れてすみませんでした。では次回第2話は今月中に。