D.C.外伝『ハルと呼ばれる少年』第3.5章
「ファンクラブ」A
さくら「いつかこの企画をたてるつもりだよぉ!」

何やら、闘志を燃やしているさくら。
これだと、もう企画は完成しているのか。

ハル「そ、そうっすか・・・」
美春「ハルちゃ〜ん!」

美春が俺たちのところにやってきた。
名簿がなぜかもう1冊増えているのが気になるが・・・。

美春「いろんな人のが集まったよ」

No010.月城アリス
No011.水越眞子
No012.水越萌
No013.白河暦
No014〜044.美春クラス一同
No045.胡ノ宮環
No046.彩珠ななこ
No047.工藤叶

・・・・・・。
み、美春クラス一同って・・・。

美春「すごいよ、1冊じゃ納まらないくらいだよ」

こいつ、俺の名をどれくらいに広めているんだ。
無断で勝手に、許せねぇけど・・・何か、もうどうでもよくなった。

ハル「そうかい。そりゃようござんしたね」
美春「ハルちゃん、喜ばないの?」
ハル「元々、俺はこんなファンクラブ作ろうなんて思っていない。
何だよ、勝手に余計なことをしやがって」

俺は元々やる気なんて・・・まぁ少しはあるけどよ。

美春「・・・」
さくら「・・・ハルちゃん」
ハル「そ、そこまで集められたら・・・・・・・・・やるっきゃねーじゃねェか」
美春「・・・え?」
ハル「な、美春」

何か、よくわからないが、俺もファンクラブに興味が湧いてきた。

美春「うん!」
さくら「じゃ、ボクが顧問に決定!」
美春「美春は会長になりま〜す!」
ハル「か、勝手すぎるなぁ・・・^^;」




そしてその日を機に、俺の一日が少し変わった。




ふわぁぁ・・・・・・何かかなり体が重い。
動くのがめんどくせー・・・。

美春「ハルちゃーん! 起きてくださぁい!!」

・・・。
俺の携帯が鳴った。それも朝から美春のうるさいヴォイスでだ。
美春のやつ、いつの間に俺の携帯をいじってたんだ?

ハル「ぅ・・・ん。んん・・・」

まだ起きたくない。もう少しだけ寝ていたい。
俺はその時そう思っていた。

音夢「起きなさーい!!」

ん、音夢姉ちゃんの声がする。
美春のやつ、俺の携帯に音夢姉ちゃんのヴォイスまで・・・―――――って!

ハル「!!!!!」

音夢姉ちゃん!? 俺ははっきりと目を覚ました。
俺の前には、辞書を俺の体に落とそうとしている音夢姉ちゃんがいた。

音夢「いつまでもぐうたらだと兄さんみたいになっちゃうよ」
ハル「っていうか、何でここに来てんですか!」

俺が言った途端、音夢姉ちゃんは自分の行いを後悔しているような表情をしている。

音夢「それは、美春の命令で」

すかさず、俺は音夢姉ちゃんの後ろにいる美春を呼んだ。

ハル「おい、美春。これはどういうことだ」
美春「どういうことって、これはハルちゃんファンクラブ員の活動ですから」

ってことは、こんな日が何通りかの起こされ方で俺は朝を迎えるっていうのか。
まてよ、確かメンバーは・・・・・・47人!?
ってことは100以上の起こされ方をされるっていうのかよ!
やめてくれ〜、俺の体がもたねェ。

音夢「やっぱりやめようよ、美春。ハルちゃんに迷惑だよ」

音夢姉ちゃんは始めからノリ気じゃなかったのか。
むしろ、迷惑なのは美春だ。

美春「何を言っているんです、音夢先輩。
音夢先輩はあの朝倉先輩を毎朝起こすスペシャリストさんなんですから、ハルちゃんにも効果的ですよ」

俺を殺す気か、美春。
無数の辞書の攻撃には歯がたたないっていうのに・・・。

ハル「わかった、夜は早く寝るから、こんな起こされ方はやめてくれ〜」
音夢「ごめんね、ハルちゃん」
美春「じゃ、音夢先輩、起こし方を変えますか」

いや、そうじゃねェだろ・・・。




そんな朝を迎え、美春は朝が忙しいと、先に家を出た。
朝が忙しいということは大体はわかっている。ファンクラブの誘いか何かだろう。
俺は音夢姉ちゃんと登校した。

音夢「やっぱり、兄さんと同じ起こし方じゃ無理があったかな」
ハル「いえいえ・・・。っていうか、久しぶりに音夢姉ちゃんと登校できたから」
音夢「え?」
ハル「新鮮な朝ですよ」

俺は笑顔で音夢姉ちゃんに言った。
音夢姉ちゃんは少々照れ気味に俺を見ていた。

音夢「ハルちゃん・・・。そんな風に言われると私・・・」
ハル「っていうより、何かいつもより目覚めがいいです。
まさか俺の部屋に音夢姉ちゃんがいるとは思ってもみなかったんで」
音夢「やっぱり元々目覚めが兄さんよりいいハルちゃんじゃ、やりすぎだったかな?」
ハル「ええ、思いっきりやりすぎです。
普通に武器を使わずに起こしていただければ結構です」

校門前まで来た。
なぜか他の生徒がこっちをジロジロ見ていたのには気になったが、大体は予想できる。

音夢「私たち、見られてるよ」
ハル「音夢姉ちゃん目当てっていうのもあるけど、おそらくそれ以上に―――」
女生徒「ハルせんぱぁ〜〜い!!」

何と、大勢の女子が俺を求めて駆けつけている。というより、突進している。

音夢「は、ハルちゃん!?」
ハル「う、うおぉぉぉ!!!」

次の瞬間、俺は胴上げをされ、そのまま担がれてしまい、教室まで連れていかれた。

音夢「ハルちゃん・・・」

音夢姉ちゃんはその場で呆然としていた。




ハル「美春!!」

俺は教室に入り早々、美春のところに行った。

美春「お〜はよ♪、ハルちゃん」
ハル「『お〜はよ♪』じゃねぇ! この騒ぎは何なんだ!」

よくわからないが、教室はお祭り騒ぎになっている。

美春「みんな、ハルちゃんファンクラブだよ」
ハル「はァ?」
美春「今、90人もいるよ。全体の95%は女子だよ」

まだまだ風見学園全体とはいえないが、もう90人なんて多すぎだろ!
全体の5%ってことは・・・・・・18人に1人が男子かよ。
それにどうりで、さっきのは女の子しかいなかったわけだ。

ハル「それはいいが、意味のない胴上げとか、教室までのアレはやめてくれよ。
一日のリズムが狂っちまう」
美春「はぁ〜、わかりました」

と言い、美春は名簿に、消しゴムで活動内容部分に、

美春「『教室までのお出迎えはなし』っと」

削除をした。

ハル「胴上げもやめてくれ」
美春「あはは、やっぱダメか」
ハル「意味がわからんだろ」

美春は胴上げと書かれた部分も消した。




それから授業中、昼休みは少々ちやほやされてはいたものの、特に何も起こらなかった。
が、ある休み時間、廊下を歩いていると、

女生徒「ハル先輩。おはようございます」

またも、見ず知らずの附属の女子に声をかけられる。

ハル「え、ああ。おはよう」
女生徒「あの、今度の日曜、空いていますか?」
ハル「え? うん、まあ、空いてはいるけど・・・」
女生徒「あの、プールに行きませんか?
チケットが2つあるんですけど、みんな予定が入ってるって・・・。だから、ハル先輩と一緒にと思って・・・」

何か、妙な展開になったな。

ハル「君も、俺のファンクラブに入っているの?」
こまち「はい。No065.葛西こまち。附属の2年で、風紀委員です」

そう言い、美春特製のファンクラブステッカを見せた。

ハル「ふ〜ん、美春と同じ部位にいるんだな」

この一言は風紀委員としていっているんだ。決して美春と同じと言っているわけではない。

こまち「はい」

この少々内気げなこまちちゃんと突発的だが、俺は誘われてる。
見たところ、悪い連中と絡んでいるということはなさそうだし、何にせよ、風紀委員なんだから、誘いにのっても心配ないだろう。
出会い系とかじゃなければ幸いだが・・・。

ハル「まぁ、いいや。チケット頂くよ」
こまち「あと、メールアドレス教えてくれませんか?」

こまちちゃんは生徒手帳の連絡網のページを開いた。

ハル「あ、ああ」

俺はアドレスをそのページ部分に書いた。
その連絡網をちらっと見てみると、書かれたものが全て女の子で、俺みたいにシャーペンで書いている人は誰もいない。
みんな派手な色で派手に書いてるなぁ。
っていうより、みんな枠からはみ出てるよ。
何かこうして連絡網を見ていると、非常に俺の字が情けない・・・。

こまち「あの・・・もう書きましたか?」
ハル「え、うん」

俺は生徒手帳を渡した。

こまち「では、放課後にメールでお伝えします」

そう言い、こまちちゃんは手を振る。俺も手を振る。
こまちちゃんはとても喜んでいるな。
が、何やら嫉妬しているような目でこっちを見ている視線を感じた。
周りからもあるが、特に強烈なのが俺の背後から1つ。

美春「うぅ〜〜〜ハルちゃん・・・。こまちちゃんとどこに行くつもりなのぉ〜〜〜」

ハンカチをかじって、うるうるな目でこっちを見る美春がいた。
やはりこまちちゃんのことは美春も知っていた。

ハル「別に、デートっていうわけじゃないんだから」
美春「でもデートと変わりないじゃん」
ハル「あのな、男同士でプール行くのと女の子とプール行くのはあまり変わんないだろ」
?「いや、それは違うな」
ハル「ん?」
杉並「No005.杉並だ」

杉並先輩はいつも横から入ってくる。
つーか、俺のファンクラブナンバーを早速使ってるな。

杉並「友達として行くというのもあるが、それは思春期になるまでだ。この歳でプールに誘いだなんて、どうみても片思いだろう。
あの小町もお前にデレデレだから言える。それにおまえ自身も、プールに行った後に内心が変わっているはずだ」
ハル「別に・・・暇な1日を過ごすよりはマシでしょ。あの子も一応・・・俺のファンクラブに入っているんだし・・・」

俺もいつのまにか、自分のファンクラブのことを活用していたが、今更もうやめるわけにもいかない。
音夢姉ちゃん、ことりさんと共にこのファンクラブを盛り上げようじゃないか。

美春「そんなぁ〜〜〜」
ハル「・・・」

美春がいまにも泣き出しそうなので、

ハル「わかった。美春、お前と今夜どっかに出かけよう」
美春「え?」
ハル「お前の行きたい所でいい。一緒に、2人きりでどこか行こう」

俺は美春を誘った。

美春「うん!」

もちろん美春は行きたがっている。行く場所なんて思いつかないが・・・。

杉並「ほう、意外に天枷弟も大胆な発想を思いつくなぁ」
ハル「いいでしょ、美春が喜んでくれるのなら」

・・・急激に俺のスケジュールが忙しくなったな。




そしてその夜

ハル「出かける準備は出来たか」
美春「は〜い、おまたせ」

美春はイマドキの娘っていうような服装で現れた。女の子のファッションってあんまり気にしてないからどう表現すりゃいいのかわからんな。
俺の格好はというと、普段着とあんまり変わらない。

美春「もう、せっかくのデートなんだから。もっとかっこいいのを着てよ。
っていっても、これでも充分かっこいいよ」

つーか、単に外に出るだけだぞ。デートじゃねぇってのに。
ま、美春の機嫌が良ければそれで構わないか。




翌朝

?「ねぇ、早く起きてぇ〜(ハートマーク)」

何だ、この艶っぽい声を出している人は・・・。

ハル「!!!!!」

何と、ビキニ姿のともちゃん先輩、みっくん先輩、そしてことりさんが俺の部屋に入っていた。
先程言った人は、

みっくん「ようやく起きた」

みっくん先輩だった。

ことり「やっぱり、この水着のサイズ、少し小さいよ。ムネがあまり収まらないし」
ともちゃん「いいの。ことりはそれくらいが色気あるよ。私だってハイレグだし」
みっくん「ハルっちもこの通りだし」

俺は鼻血を流しながら完全にノックアウト状態だった。

ことり「ハルちゃん、大丈夫!?」

ことりさんは俺の心配をし、ベッド頭部に置いてあるティッシュを取ろうとしたが、

ハル「ぐはぁ〜」

その時にことりさんの胸が俺の目の前で揺れ、

ことり「あ・・・!」

ムニュっと胸を押しつけられたため、俺はことりさんの胸の中で気絶した。

ことり「ハルちゃん、しっかりして。ハルちゃん」
ともちゃん「あ〜あ、ハルっちKO!」
みっくん「ことりって、案外Hなコね」
ことり「私はそんなつもりじゃ・・・」
ともちゃん「この起こし方は、少しやりすぎたかな」

いえ、これは・・・天国だ〜。




翌々朝

うん、何か食べ物のいい匂いがするなぁ。

ハル「・・・うわあちちちちちち!!!!!!」

俺はあまりの熱さに目を覚ました。

眞子「火傷作戦、成功!」
ハル「俺の部屋で何してんですか!?」
萌「え?」

何と、この2人は俺の部屋で鍋をグツグツと料理していた。
そしてその鍋の蓋を俺の顔に押しつけた。
当然のことだが、俺はそれによって飛び起きた。

萌「ハル君も起きたことだし、一緒に鍋でも・・・」
ハル「いりません!」
眞子「どうして!? こんなにおいしいのに」
ハル「っていうか、酷すぎですよ。鍋の蓋で俺を起こすって」

昨日が天国で今日は地獄か。
俺の頬は軽い火傷をしてしまった。

眞子「朝倉だって、それくらいじゃないと起きないんだから」
ハル「俺と兄貴を一緒にしないでください。
寝起きくらい兄貴ほど酷くはありません」
眞子「本当に?」

まぁ、起きたくない時もあるけど・・・。




翌々々朝

杉並「・・・フ」

心地よく寝ていたのだが、なぜか急に寝苦しくなった。

美春「本当にこんなことしていていいんですか」
杉並「この昔ながらの起こし方が、ハル男に効果的だ」
美春「ハルちゃんが苦しんでいるんですけど・・・」
成田「なに、心配なんて必要ない。ハル坊は心地よい朝を迎えている途上なのだ」
美春「そうかな・・・」

苦しい・・・苦しい・・・苦しい・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・!!!!
つーか、いい加減、俺のベットから降りろ、コラァッ!!

杉並「ほほぉ。どうだ、目覚めはいいだろう。清々しいこの朝を快く迎えただろ」
ハル「もう眠気はどっかに吹っ飛びましたが、苦しいです!」

この3人は、寝ている俺の上に乗っかった。

杉並「そのうちこの起床方法にも慣れる。二度寝や三度寝なんぞ相手にならんくらいにな」

しかも杉並先輩は、俺にわざと体重をかけた。・・・ような気がしたが。




こんな日々が毎日続くってのか・・・。嬉しさ反面、神経消耗・・・。こんなんで毎日体力持つかなぁ・・・。
っていうより美春、何とかしろ!!!




【美春のデータ】
曜日担当
月曜:美春、音夢
火曜:ことり、ともちゃん、みっくん
水曜:萌、眞子
木曜:純一、杉並、成田
金曜:さくら、ななこ
土曜:美春、アリス
日曜:環、叶(隔週:純一)







あとがき
どうも、海です。
ことりのファンクラブ、音夢のファンクラブに続き、ハルのファンクラブもこうして出来ました。
活動がメチャクチャですが・・・。
オリキャラの「葛西こまち」の由来は、付近の駅名と新幹線の名前からとりました。
ハルも「先輩!」と呼ばれるようになりました。
ちなみにまだ、こまちとハルのストーリーは考えていません。
いずれにしても音夢派、ことり派、そしてハル派というのが出来上がりそうです。

管理人から
オリキャラの葛西こまちがなかなかいい味出しそうですね。
デートシーンのSSとか楽しみにさせてもらいます。
あと、ことり達の起こし方なら自分なら寝てるフリして薄目で見ますね。目に焼き付けときます。
これで外伝の外伝は終りです。次は外伝で〜



                                          
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