D.C.外伝『ハルと呼ばれる少年』第3.5章
「ファンクラブ」@
あ〜、今日も平和な、っていうか普通の変わらない朝だ。

ハル「お〜い、美春?」

俺は美春の部屋のドアを叩いた。

・・・・・・。

中からは何も返答が来ない。

ハル「・・・?」

俺はもう1回激しく叩いてみた。

・・・・・・。

やはり何も返ってこない。

ハル「おいっ、美春! さっさと起きろっ!!」

・・・・・・。

やはり返ってこない。

ハル「!」

俺はドアを開け、バナナ天国のような美春の部屋に入った。
すると、美春は既に学校に行ったらしく、パジャマがだらしなく放置してあった。
こんなに朝早く行くなんて・・・あいつ、追試か?




俺も朝食を済ませ、学校に行った。

男生徒「おはよう!」
女生徒「おはよう、ハルちゃん」

・・・ん?

女生徒「あ、先輩。おはようございます」

後輩からの挨拶。

部員「ちわーすっ」

部活仲間からの挨拶。
・・・何かがおかしい。
俺って、いつもこれほどまでに挨拶された覚えはなかったはずだ。
俺に何が起こった!? そして学校で、何が起こっている!?




俺は何も考えることなく教室に入った。
すると、

クラス一同「ハルちゃん、おはよーーー!!!」

クラスの声が廊下に響き渡るくらいの大きさで挨拶してきた。

ハル「な、なんだ!?」

そしてその中に、美春がいた。

美春「天枷春巳君」

いきなり改まった美春の口調に、俺は、

ハル「は、はい」

俺までもが改まってしまった。

美春「今日からハルちゃんを応援していく『ハルちゃんファンクラブ』を発足いたしま〜す!」
ハル「ほぅ〜・・・・・・はァ!?」

危うく納得する所だった。
いきなりなんだ、俺のファンクラブって!?

ハル「勝手に決めるな! それに俺のファンクラブって、一体何人居るんだ!?」

すると美春は、表情を変え、クラス一同は普段の姿に戻った。

美春「うぅ〜・・・私1人だけ・・・」
ハル「はぁ・・・それじゃファンクラブの意味ないだろうが。
っていうより、あいつらが俺に言った挨拶はただの遊び心だってことなのか。許せねぇ」
美春「・・・ハルちゃん?」

俺は遊び心で挨拶した奴らを許せないと思っていたが、めんどくせーからやめた。

ハル「ま、気にすんな。
んで、ファンクラブ員はお前1人なのか?」

ふいに横から、

成田「ん? 何を言っている。俺も入っているぞ」
美春「え?」
ハル「お前が?」

成田が横割りしてきた。
だが、当の美春がきょとんとしているところをみると、こいつは正式には入ってないらしい。

成田「なら、天枷美春殿。名簿に俺の名を入れてくれ」

そう言い、成田は姿を消した。

美春「は、はい」

美春は、抱いている可愛らしい名簿に、成田の名を入れる。

美春「No004.成田君っと」

・・・ん?

ハル「4って、このファンクラブは、現在お前1人だけなんだろ?」
美春「うん、でもこの002と003には入れたい人がいるから」
ハル「そ、そうか・・・」

大体は予想できるが・・・。

No000.天枷 春巳(ハルちゃん)
No001.天枷 美春



美春のプロジェクトというのか、よくわからないこの『ハルちゃんファンクラブ』
一体どれほどの人が集まるのだろうか。

美春「音夢先輩☆
ハルちゃんファンクラブに入ってくださぁい」
音夢「ハルちゃんファンクラブ?」

音夢姉ちゃんは俺をじ〜と見る。

ハル「な、なんですか。言っておきますけど、これは美春の勝手で・・・」
美春「何を言っているの、ハルちゃん。音夢先輩に入れてもらいたいから、この美春の力を借りて今、ここに来ているんでしょ」
ハル「はァ!?」

言っておくが、俺は一度たりとも音夢姉ちゃんにそんな気持ちを抱いたことはない。
っていうか、美春の勝手なんだろうが。

音夢「ふ〜ん」

ヤバいよ、音夢姉ちゃんが怪しそうな目でこっちを見てるよ。

ハル「・・・別に、入らないんならいいですよ」
音夢「まあ、面白そうだし、入ってみようかな」

・・・え?

美春「わ〜い!よかったね、ハルちゃん」
ハル「ちょ、ちょっと、いいんですか、音夢姉ちゃん?」
音夢「うん、だってこのファンクラブは学校の公認じゃないんでしょ」
ハル「まァ、美春の私用ですからね」

No002.朝倉 音夢
No003.朝倉 純一

ハル「おい、兄貴には何も言わなくていいのか?」
美春「いいよ、朝倉先輩も喜んでくれるし。ね、音夢先輩」
音夢「うん」

か、軽いな、この2人。



次は・・・



?「ちょっと待った」
ハル・美春「?」

後ろを振り返ると、杉並先輩がいた。

杉並「No004が俺の弟子なら、その下には俺の名を入れるんだ」
美春「え、加入しくださるんですか、杉並先輩!」

もう美春の瞳は輝いていた。
まァ、このファンクラブに名をあげるのは誰もいなかったからな。

杉並「もちろんだ。今後もよく精進しておけ、ハル男」
ハル「だから、俺の名は『ハルお』じゃねえ!!」

No005.杉並

ハル「あれ、美春。杉並先輩の名前知らないのか?」
美春「うん。ハルちゃんは知ってる?」
ハル「いや、俺は知らない」

これって、初音島の七不思議? ってみんな知ってるか、そんなこと。
もしかして、みんなも知らなかったりして・・・。




ことり「ハルちゃんファンクラブ?」
ともちゃん「ハルちゃんファンクラブ?」
みっくん「ハルちゃんファンクラブ?」

3人が同じ単語を言った。
っていうよりことりさん達も誘うつもりなのか、美春。

美春「そぉでぇ〜す!」
ことり「そのファンクラブはどんな活動をするの?」
美春「ファンクラブである私たちが、ハルちゃんをサポートしていくのでぇす」

ファンクラブである私たちって、美春、ことりさんはまだ加入してねェんだぞ。

ともちゃん「要するに、ハルっちのサポート部隊ってわけかぁ〜」
ハル「俺は別にどうでもいいことなんですけどね」

そうだ、これは俺の正直な気持ちなんだ。

美春「でも、こう見えても、ハルちゃんは意外に照れ屋さんなんですよ。
だから人前でこんなキザっぽいこと言ってるんですよ。美春の力がないと、こんなにもデレデレしちゃって」
ハル「はァ!?」

だから違うんだっつぅの!

ともちゃん「これって部活とか何かなの?」
ハル「いいえ、美春の勝手な私用です」
美春「もう、失礼な。
確かに私の使用ですけど、いずれは大きな巨大ファンクラブになりつつあるんですよ。学校にも公認され、HPとかが出来たリして」

こらこら、勝手にスケールをでかくするな!
っていうより、HPを作って、何をするつもりなんだ。
これが杉並先輩担当だったら、俺はどうなっちゃうんだぁ〜。俺の個人情報が流出するかもしれねーな。

みっくん「ほ〜んとハルっちって、照れ屋なのね」
ともちゃん「そんなことくらい私がプロジェクトしてあげるのに」
ハル「あのですね、先輩達。これは美春の勝手な・・・」
ことり「私、入ってみようかな」

ずっと黙っていたことりさんが言い出した。

ハル「は、入るんですか!?」
ことり「はい。興味はありますから」
ハル「・・・」
美春「ありがとうございます、白河先輩!!」

No006.白河 ことり

みっくん「なら、私も入るわよ。興味もあるし」
ともちゃん「ちょっとまったぁ、私も」
ハル「衝動で加入しても何も起こりませんよ」
ともちゃん「いいよ、ちゃんと私たちがハルっちを守るから」
ハル「いや、守るって・・・」

No007.佐伯 加奈子
No008.森川 知子

みっくん「007なんて、何かかっこいい!」

3人とも、何やら達成感でいっぱいのようだ。
なぜ達成感に浸っているのかはさておき、このままだと本当にファンクラブが出来てしまうぞ・・・。
恥ずかしいような、嬉しいような・・・。




さくら「へ〜え、ハルちゃんを応援するクラブかぁ〜」
ハル「お前、さくらも入れるつもりか?」
美春「もちろんです!」

次に美春は、さくらをターゲットにしている。
さくらじゃ、難なく入ってしまいそうだ。

さくら「面白そうだね、ボクもそのファンクラブに入るよ」
美春「ありがとうございます!」
ハル「・・・」

俺はもう抵抗する気にならなかった。
もうどうにでもなれ・・・。

No009.芳乃 さくら




ハル「なぁ、美春。俺、ちょっと寄るところあるから」
美春「そう? じゃあね」

美春は俺が逃げ出そうとしていることなんて、考えてはいないらしい。
美春を1人にさせたところで、何か怖い感じはするが、

さくら「あれ、ハルちゃん」

俺はさくらのところに戻った。

ハル「あのですね、さくらさん。本当に入るんですか?」
さくら「いいじゃん。音夢ちゃんやことりちゃんのファンクラブもあるんだし」
ハル「そうなると、俺の派閥も出来たりするんですか。
っていうより、音夢姉ちゃんとことりさんが俺のファンクラブに入っていることによって、俺はどうなっちゃうんですか?」

間違いなく男子生徒が俺に嫉妬するだろう。
っていうより、上履きに画鋲を入れられたりして。

さくら「ここまできたら本格始動だよ。何ならボクが顧問になってあげようか」
ハル「部活にする気ですか・・・」
さくら「え? そのつもりなんじゃないの?」

さくらまで・・・。
もう俺は泣きたいくらいだ。好きでファンクラブを作ったわけでもないのに;;

ハル「俺がこれほどまで嫌がっているのがわからないんですか」
さくら「ハルちゃん。ハルちゃんは学校でもそれなりにおにいちゃんと同じくらい人気があるんだから、絶対集まると思うよ。
音夢ちゃんファンクラブ、ことりちゃんファンクラブ、そしてハルちゃんファンクラブの3大ファンクラブをこれから築き上げるんだよ」

その音夢姉ちゃんとことりさんが俺のファンクラブに入っているってことは、
俺は音夢姉ちゃんとことりさんのファンクラブに強制参加ってことになるんじゃないのか。
いくら2人のことが好きでも、俺はファンクラブに入ろうなんて思ってもいないのに・・・。それに派閥も出来ちゃったりして・・・。

さくら「面白そうだよ、3大ファンクラブ。
夏休みと冬休みはこの3つのファンクラブで旅行っていうのも悪くはないね」

さくらは何やら紙にそのような計画を立てていた。

ハル「さくらさん、それってあくまで、紙上旅行ですよね」
さくら「うにゃ? 紙上なわけないじゃん」

ガーーン!!

ハル「さくらさん・・・本気で・・・?」
さくら「もちろんだよ。
お題は『年忘れ 年末年始年越しツアー!』で決定。主催はボクがするよ」
ハル「ちょっと! 勝手に進行しないでください!」

この先どうなっちまうんだ。





続く

あとがき
どうも、海です。
このシリーズ初の「外伝」の外伝ものです。
風見学園のアイドルといえば、ことりと音夢ですが、なら、男子では・・・?
と、いうことで、この話を思いつきました。
が、本人はあまりよろしくないようで・・・^^;

管理人から
ファンクラブ・・・現実にはありえないような光景ですね。
ことりFCは表立って行動してるようですが、音夢FCはどんな動きをしてるかゲームでは語られてなかった気がします。
まぁ、ことりFC同様大勢のメンバーがいるかと思いますが。学園内は完全な2大派閥になってるのかな?
自分もFCを扱ったSSをちょっと書いてみたいな、と思わされる話でした。



                                        
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