D.C.外伝『ハルと呼ばれる少年』第三章
「孤独、タイムスリップ、さくら」A
全く変わらない一日。

家に居れば、両親の口げんか、時には殴りあい、その殴り合いには俺も交えていた。

殴り合いで、両親は俺に勝ったことはない。

そして学校に行けば、孤独な生活がある。

しかし、そんな孤独を好んでいる俺には、成田という不良少年がいつも先公の説教の傍らにいつもいた。

彼とは時に相談相手になったり、不良少年なのに、マジになって応えてくれた。

いくら不良少年でも、誰もが悪ではない。このように、根はイイヤツだっている。

俺はこの成田が唯一の話し相手だった。




ハル「なぁ、俺たち3年になるまであと2ヶ月なんだよな」
成田「お前から話をするなんて珍しいな」
ハル「・・・別に。言いたかっただけだ」

月日はいくらか過ぎ、もう1月の終わりを迎えていた。
俺らの1個上の学年では高校試験を控え、慌しくなっていた。

成田「3年は大変だな。ま、俺たちも直に来るんだけどよ」
ハル「・・・」

3年になれば、高校試験が待っているのか。
やな時期だな。高校試験なんて、かったりぃ。

ん? かったりぃ?

『かったりぃ』って、誰かがよく言ってたな。誰だっけ?
かったりぃ、かったりぃ・・・かったりぃ・・・。
・・・やっぱ昔のことだから、覚えてねぇな。

成田「やっぱお前、無口だな」
ハル「・・・これが俺だ」

だが、成田は相変わらず俺が無口なため、段々イラついてきていた。

成田「お前な、そう一生無口でいると、本当に親友ができなくなるぞ」
ハル「・・・不良のお前に言われる筋合いはない」
成田「てめぇ!!」

成田は俺の胸倉を掴み、俺の頬に向けて殴る。

ハル「・・・痛って! 何しやがる!」

俺はすかさず、成田の腹に向かって蹴る。

成田「ほれ。てめぇはそれくらい元気のほうがいいんだよ!」

俺は今、気づいた。
俺が、怒鳴った・・・。

ハル「今、俺・・・」
成田「いつまでも無口になるな。てめぇは、元気でいるほうがマシなんだよ」

だが、俺には元気でいるのが辛かった。
それはなぜかって? 美春とのあの一件があって、どうも元気になることができなかったからだ。

ハル「・・・元気なほうがいいのか?」
成田「あったりまえだろ! ん?」

そんな俺たちの様子を金髪で蒼い瞳をした1人の少女が見ていた。

成田「おい、見せもんじゃねぇぞ。さっさとうせろ!」
少女「・・・」

だが、その少女は成田が言っても全く動じない。

成田「おい、聞こえてんのか?」
少女「・・・」

成田がその少女の所に行った。俺もあとに続く。

ハル「・・・誰だ、こいつ」
成田「この辺りじゃ、見かけねぇ顔だな」

すると、この少女は俺に向かって、

少女「・・・ハルちゃん」

と言った。

ハル「・・・」

ん、ハルちゃん・・・? 『ハルちゃん』って・・・――
美春が俺に言っていた呼び名じゃねぇか!

成田「お前、このガキの知り合いなのか」
ハル「・・・いや、知らん。お前の知り合いなんじゃないのか、成田」

一体誰なんだ、こいつ・・・。
こんな小学生くらいのガキとは知り合ったことなんて覚えてないぞ。
俺じゃなくて、成田の知り合いなんじゃないのか。
ま、知らないってことで、俺には関係のないことだがな。

成田「いや、俺も知らん。っておい、待てよ、飯田!」
ハル「・・・」

俺はこの場を後にし、目的地なんて考えてもないけど、この場から去った。
あの少女は俺に何かを訴えるような目で見ていた。




あの後、俺は先公に捕まり、俺のクラスの授業を受けさせられた。

だが、俺はやる気がなかったため、その授業は寝ることにした。

その授業の時、先公が俺を呼んだような気がしたが、俺は気にせず眠り続けていた。




授業が終わり、掃除の当番があったが、やる気がなかったので、俺は学校を出た。

どーせ俺に一言も言う奴なんて誰もいないだろう。俺はそのほうが、気持ちがいいんだけどな。

孤独を好むのに、何が悪いのか・・・。




成田「さーて、今度はどこで暴れ回るか?」
ハル「俺まで巻き込ませるのか」
成田「別にいいんだぜ。俺が居なけりゃお前は一生孤独だ」

う・・・、痛い言葉だ。
だが、孤独になったって構わない。クラスメートと仲良くなるのがかったりぃからな。

ん? かったりぃ?

だから何なんだ、『かったりぃ』って!!
俺の頭の中でそのかったりぃをよく言う少年の記憶が蘇えかけたが、やはり思い出せなかった。

ハル「わかったよ。んで、どこに行くんだよ。そこで俺は何をすりゃいいんだ?」

俺は他の人と仲良くすれば孤独でなくなるのだが、今の俺の周りには近づかなくなったため、俺には成田しか居なかった。

成田「そうだな、夜にガラスでも割りに行くか? お前は見張りだ」
ハル「・・・何だ、そんな扱いか」
成田「ふん、その程度で充分だ」
ハル「・・・」

何だ、こいつ。




俺たちは夜にガラスを割りに行ったのだが、警察にその行為を見られ、捕まってしまった。
そして俺らの付き添いとして親がやってきた。

父「バカたれ! ガラス料がどれほどかかるのかわからんのか!!」
母「もう、バカな息子よね」

俺はこいつらの言葉が気にいらなかった。

ハル「・・・誰のせいでバカになったんだよ」
父「何だと!!」
成田の父「まあまあ、落ち着いてください」
成田の母「ホントですよ、この子ときたら・・・」

成田の両親は成田がこんなことしてもなぜか扱いはやさしかった。
お前らは気が弱すぎるんだよ。しつけのねェ教育をしてっから息子がああいう風になるんだろうが。甘やかしすぎなんだよ。
ま、俺が言っても説得力ねーけどな。

父「あんたたちはあんたの息子が悪いことをしたっていうのに、何も怒らないのか!
そういう教えだがら、どんどん悪になってくんだろうが!!」

俺と思っていることは一緒だったが、俺は親父の言葉がどうしても気にいらなかった。

ハル「・・・てめェだってろくに子供の面倒を見ねェくせに」
父「貴様ァ!!!」
成田の父「まあ、落ち着いてください」

成田の父が止めようとするが、親父は止まらなかった。

父「うるせェ! こいつは俺のいうことをいつも聞かなかったんだ。
今までのストレスをここで晴らしてやる」

親父は俺の胸倉を掴もうとしたが、俺が先に親父の胸倉を掴んだ。

ハル「・・・何を言ってやがる。てめェらが酒を飲んでばっかだから、俺はこんな状態になったんだろ。
俺はそんなてめェらが大嫌いだ。どーせ俺を好きになる奴なんていやしねぇけどよ」
父「バカたれェーー!!!」

親父は俺の腕を振り解き、俺の頬を殴った。
だが、寸前で俺が腕で親父の拳を止める。

父「ぐっ!!」

母が親父の頬をひっぱたいた。

母「バカなこと言うんじゃない。お父さんが酒を飲んでばっかりだからこの子がこうなるんでしょ!」
父「はァ? 俺のせいかよ!」
ハル「・・・けっ、やっぱ自分のことは棚にあげて、人のせいになるんじゃないか」
母「あんたはうるさい!」

そして母は親父に向けた。

母「あんたがちゃんとしていれば、こんな悪にはならなかったんだ」
父「何だとォ!!」
成田の父「あの、その辺でやめてくれませんか」
父「うるせェ!!」

親父は成田の父を殴った。
成田の父はそれによって壁に当たった。

父「じゃあ俺からも言う! てめぇは俺が仕事してから、ちゃんと春巳の面倒を見たか?」
母「何を言ってんの。仕事なんてろくにしなかったくせして。
リストラで仕事がなくなってから、酒に酔いつぶれた生活をしてもう何年になったと思ってんの?」

こいつ、俺の面倒そっちのけで酒に酔っていたのかよ・・・。

父「ふん、いいじゃねぇか。
てめぇだって仕事しろとかいって、自分はパチンコとかに行って金稼いでいるだけだろ!」
母「いいじゃないの、稼げるんだし」

こいつも、相当な奴だ・・・。

父「何だ、俺と一緒じゃねぇか」
母「ふん」
ハル「・・・てめぇら、ホントに義務教育にのっとって、俺を育てるつもりねェのかよ」
父・母「ふん、そんなのいらねェよ。離婚なんかいつでもしてやる」

何だと・・・!!
ついに、俺を怒らす言葉を言った。

ハル「てめぇらぁぁぁ!!!!」

俺はそこら辺にあったドラム缶を両親に投げた。
俺のうやむやが消えるまで投げた。
そしてドラム缶のふたを取り、ドラム缶を両手で持って親父と母に殴る。

ハル「くらえ! くらえっ! 喰らいやがれぇっ!!」

段々、親父と母の顔にあざが出来はじめたが、俺はそんなこと気にしなかった。

父「や・・・やめろ・・・」
ハル「黙れ!
てめぇらの顔の輪郭なんていっそのこと俺が崩してやる!」

成田達はというと、

成田の父「や、やめなさい・・・」
成田の母「ひぃ」
成田「そうだ、やれ! もっとやっちゃえ! 親父達も負けるな。もっとやれ!」

成田の両親はもう何もいえなかった。その横で成田が野次を飛ばす。

母「ぐふっ・・・」

その時、部屋のドアから、

少女「もうその辺にしてよっ!!」

あの昼に出会った少女が出てきた。

ハル「ぐっ・・・」

一瞬、俺の体勢が揺らめいた。
そしてふらつき、俺の体はその少女のほうにいった。

パンッ!!

成田の両親「!!」
ハル「・・・!」
成田「え・・・?」

少女が俺の頬を平手で叩いた。

少女「ハルちゃん、君はそんな乱暴な人じゃないよ。
ホントは心優しい人だよ。何で、こんなことを・・・」

だが、この少女が何者なのかみんなは思っていた。

父「・・・お・・・お前・・・何者だ」
少女「え、ボク? ボクは・・・」
ハル「・・・」
さくら「芳乃さくら」





続く

あとがき
どうも、海です♪
このストーリー上、最も重い話です。
ハルはこれほどまでも両親に嫌われ、「りょうしん」だけに、良心を亡くしてしまったのでしょうか。
本来のD.C.とは全く関係のない場所でのストーリー。3話をお楽しみに!

管理人から
テストが終わったお陰で少しだけ早く掲載出来ました。
記憶喪失になってるとこういう風に少しだけ覚えてるもんなんでしょうか?
過去編でさくらがハルにどんな影響を与えるのか必見です。



                                         
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