厳粛な空気が体育館中を満たし、優しい旋律が生徒達に深い感慨を与えていく。

多数の生徒達は簡素な作りの組み立て椅子に座り、壇上に立つ校長の姿をじっと見つめていた。

在校生の代表として、そして卒業式と言う晴れ舞台で思いを述べるのは白河ことり。

今は学園のアイドルとしてでなく、凛とした表情で言葉を紡ぐ、一人の卒業生としての立場だった。

「私達は今、卒業と言う一つの節目に向き合っています。思い起こせば、この三年間――」

メロディを思わせる美しき言葉の調べ。

次々と発されるそれらは、空気と共に人の心をも震わせる。

やがて想いは天井近くで渦を巻き、ことりが口を閉ざすと同時に、溶け込む様に霧散した。

そうしてから、たっぷり三秒間、腰を折って礼をした彼女に向かって、惜しみない拍手が送られる。

俺も気が付けば手を叩いていて、それはそれで、気分が良いとも言えた。

その後は大した起伏がある訳でもなく、円滑に卒業式は進んでいった。

長い時を経て理事長等の挨拶が終わり、慣れ親しんだ校歌を終えると、クライマックスは間近だ。

その頃には大分瞼が重くなっていたのだが、立場が立場であるだけに、我慢の一手に徹する。

睡魔に襲われる理性を繋ぎ止めるのは並大抵では叶わないが、それも仕方のない事だ。

ふいに、左手首に巻き付けた、安物の腕時計に目を落とす。

徐々に終わり行く時の流れを確認しながら、俺はふと、奇妙な違和感を覚えた。

そういえば、この単純な行動を、俺は昔、何処かで何らかの意味を持って行った事がある。

既視感(デジャビュ)、と言う奴なのだろうか。




卒業生を送る、新たな曲調の音楽が流れ始め、いよいよ式は大詰めを迎えた。

順序が少しばかり妙なのかも知れないが、残す所は卒業証書の授与のみに絞られている。

刹那、閃光が頭の中で爆発し、嫌な脂汗がつーっと頬を伝う。

慌てて辺りを見渡すと、本来いるべき場所から、何故か杉並が姿を消していた。

そして、先ほど思いだした出来事が、現状の真実を突いている事を確信する。

それは、計画実行を待ちわびる俺が、決行時間を気にして、ちらちらと覗き見ていた頃の記憶。

平和ボケしていた為に、杉並の事など完全に失念していた。

風紀委員の音夢や美春は何をしているんだろう、と思い、首を捻った瞬間――。

――冗談ではなく、本物の爆音が轟いた。

ここは、学校ですよ?




「こりゃまた、派手にやりがったなぁ・・・」
白煙がもうもうと空に昇っていく様を見つめながら、俺はぽつりと呟く。

逃げ惑う雑多な人々の群れを見つめていると、その勢いにはある意味圧巻されるものがある。

人の波に押されて体育館から脱出したものの、生徒や保護者の叫び声は止まらない。

微妙に予想出来た事なので驚きは大きくないが、それよりむしろ、呆れてしまう。

それに手の込んだ杉並の事だから、きっと、第二、第三と連続的な仕掛けを用意しているはずだ。

その時、ふいに背中に強烈な衝撃を受けた。

瞬時に腕がねじ上げられ、激痛が走る。

嫌な予感がして、ブリキ人形の様にゆっくりと振り返ると、眼前に不自然な音夢の笑顔があった。

「兄さん、これはどういう事でしょうか?」
引きつった笑顔の中に、確かな怒りを感じる。

「裏モードが崩壊寸前だぞ」
「――余程、叫びたいんですね」
音夢が握りしめた拳が、噴火直前の活火山が煮えたぎる様に、ぴくぴくと震えていた。
結論から言えば、これ以上の刺激は多分洒落にならないと思う、いや絶対。

「ちょっと落ち着け。今回の件に俺は全然関係ない」
「まだシラを切るつもりですか?悪いですけど、兄さんに言い訳の権利はありませんよ♪」
「いや、ほら発言権は人間として当然の権利だし、それに――」
「今の兄さんには、人権すらありません」
さらりと伝えられたのは、音夢からの死の宣告。

この状況では、全ての権利は完全に消滅し、残らず奪われているらしい。

このまま大人しく捕まってしまうと、少なくとも今日一日は拘束されてしまうだろう。

一日を手錠と共に過ごすのも、確かに貴重な体験だし、それはそれで味があるかも知れない。

ねぇよ。

音速並の速さで即座に自己否定すると、改めて音夢の姿をうかがう。

俺の両手は後ろで拘束されてはいるものの、少し力を込めれば、簡単に振りほどけるだろう。

ここでの逃亡は良からぬ誤解を生むかも知れないが、それは甘んじて受けるべきだ。

そう思い、手を動かそうと画策した、まさにその瞬間――。

「じゃあ、とりあえず逮捕ね♪」
がちゃ――り。
手首に冷たい金属質の物が当たり、嫌な予感が脳裏を掠める。
ゆっくりと首を傾けて後ろ手を見つめ、その絶望的な光景に、俺は叫びたい衝動に駆られた。
何故なら、黒くて頑丈な手錠が俺の手に見事に装着され、固定されていたからだ。
玩具ならば簡単に砕けるかと思ったが、引っ張ろうと、ねじろうと、全く外れる事はない。
市販の物を違法に改造したのかも知れないが、あまりに酷い仕打ちじゃないだろうか、これは。

「あの、音夢様」
「何でしょうか、お兄様?」
「コレは一体、ナンデスカ?」
「手錠です」
「見りゃ分かるわ」
力ずくにでも取り外そうと腕を振るうが、金属が擦れる音だけが虚しく響く。

何やら無気力になって空を見上げると、澄み渡った青空に、無数に浮かぶ白い雲。

そして、心地よい大気を胸一杯に吸い込む暇も与えられず、ずりずりと引きずられていく俺。

どうやら体育館裏へと向かっているようだったが、この不安定な状態では抵抗もままならない。

だが、雑草が生い茂る地面を踏みしめ、角を曲がった直後、音夢がびくりと動きを止める。

思い通りに動かない体に鞭打ち、首を傾がせた所、視界の隅に杉並の姿を捉えた。

大胆不敵にも、両手をポケットの中へと突っ込み、挑発する様にこちらを見据えている。

「おやおや、朝倉妹よ。こんな所で油を売っていて良いのかな?」
「やっぱり貴方だったのね、杉並君。風紀委員の威信にかけて――捕まえますッ!」
その言葉と同時に、俺は柔らかい路面へと勢い良く突き飛ばされた。

恐らく両腕が手錠で殺されている俺より、まず目の前にある障害を取り除こうと思ったのだろう。

俺は体を捻って右肩で受け身を取り、緩やかに地面に突っ伏すと、すかさず視線を上げる。

だが杉並は、迫る音夢を無視するように、余裕の表情で胸元から小型ライターを取り出した。

一瞬だけ困惑に表情を崩す音夢を嘲笑うように、杉並はライターの金具を擦って着火させる。

そして、二人の距離が限界まで縮まるのと、杉並が握っていた手を開くのとは、ほぼ同時だった。

遠目から眺める俺の瞳に、スローモーションの様に落ちていくライターの様子が焼き付けられる。

「爪が甘いな。せめて地面に仕掛けた罠ぐらい、確かめておくべきじゃないか?」
直後、連続的に響く小さな爆音が、複数箇所から炸裂する。

あらかじめ草の陰に散布してあったであろう爆竹が、引火して派手な爆音を鳴らしているのだ。

それも単純に撒かれているのではなく、導火線の部分を繋げて引き延ばす事によって、複数の爆竹全てを連結させ、
通常よりも効果的に相手を威圧させる様に仕向けているのだろう。

手の込んだ罠は杉並にとって御法度だったが、まだこれだけは終わらなかった。

音に驚き、音夢が接近を一時的に停止させた隙にライターを拾い上げ、煙玉を投げつけたのだ。

すぐに視界は掻き消され、周囲の風景が霧に包まれた様に白一色へ染まっていく。

「同士よ、こっちだ。だが朝倉妹に見つかると面倒だからな、静かにしていろ」
俺は半ば抱えられる様にして、何処か別の場所へと連れて行かれる。

だが、ある意味では、先ほどと大して状況に変化が無いだろうと思いつつ、敢えて黙っていた。

火薬特有の臭いが鼻を突き、限りなくゼロに近い視界の中で、杉並は不気味な笑みを浮かべる。

いつもは無気力が凝り固まった様な存在の杉並が、今はやけに生き生きとして見えた。




先端がいびつに歪んだ針金を、杉並が手錠の鍵部分に差し込んでは引き抜く。

それを一回行うごとに針金を凝視し、ペンチで微妙に形状を変形させては、もう一度差し込む。

そんな行為を幾度と無く繰り返し、いい加減痺れを切らした頃、杉並が会心の笑みを浮かべた。

直後、針金が右にひねられると同時に、かちりと小さく音が鳴り、手錠が地面に転がる。

「一丁上がりだ」
「悪いな、助かった」
杉並は苦心して作った針金をポケットに押し込むと、ようやく大きな安堵の息を吐きだした。

この空間には、日光を取り入れる小さな窓が一つと、扉のない出入り口が一カ所。

こう聞くと、追い込まれてしまえば袋の鼠の様にも思われるが、実際はそんな事など有り得ない。

何故なら、杉並が潜伏場所に選んだこの場所は、一階の男子トイレだから。

一番の強敵である風紀委員の二人が女子である事を逆手に取った、絶好の隠れ家とも言えよう。

そんな事を考えながら、自由になった両手の関節を曲げる俺をよそに、杉並は掃除用具が入っているであろうドアを開け放つ。

が、そこには無数の紙と、紙袋が二つ押し込まれていた。

俺は手渡された一枚を眺めて、血の気が急速に引いていくのを感じた。

「何で――」
「どうした、同士よ」
「お前が卒業生の卒業証書持ってんだよッ!」
豪快な突っ込みにも臆す事無く、杉並はにやりと笑って返答する。

「卒業式荒らしは、俺の生き甲斐だからな」
何となく感づいていた事だが、杉並が式を中断させたのは、恐らく生徒を学園に止める為だ。
証書を受け取ってしまえば生徒は帰宅してしまうが、逆に奪い取ってしまいさえすれば、少なくとも犯人が捕まるまで卒業式は終わらない。
そうすれば何らかのイベントに強制参加させる事が可能だ。
つまり杉並が狙っているのは、卒業生全員に影響を与える大規模な事で、それは現時点で実行するのが不可能であると言う事を示唆している。

根拠のない推理をする俺の横で、杉並は高笑いをしていたが、それがふと止まる。

眼孔が鋭くなり、口元に人差し指を当てるジェスチャーは、喋るなと言う事を指示しているのだろう。

おもむろに紙袋を取り出した杉並は、相当な枚数を誇る証書を二つに分け、詰め替えを始める。

そのうちの片方を手渡されるが、半分に分けたとは言え、紙袋の重量は半端でない物だった。

これを抱えて一日中を過ごすと確実に筋肉痛になるだろうし、腕にかかる負荷も決して軽くない。

「6時まで逃げ切れ。両方が捕まれば、賭けは俺達の負けだ」
「どういう事だ?」
「説明している暇はない。朝倉妹は予想以上に手強いようだからな。――逃げるぞ!」
その言葉が途切れないうちに、開いた小窓からスプレー缶が顔を覗かせた。

俺の目が見開かれる直後、先端の突出部から、白い粉の様な物質が散布されていく。

瞬く間にトイレ全体を埋め尽くしたそれが瞳に強力な刺激を与える催涙スプレーの類なのだと気付くまでには、そう長い時間を要する事はなかった。
元々は痴漢避けとして発案された物なのだろうが、実際に浴びると、目が痛くてたまらない。
音夢だか美春だか知らないが、これを撒き散らすとは、相当本気になっているのだろう。

「出口で待ち伏せているであろう奴は、俺に任せろ。スプレーの奴はお前に頼んだ」
「どうせ乗り掛かった船だ――とことん付き合ってやるよ!」
嫌々同意すると言う風を見せながらも、俺の動悸は次第に早鐘を打つまでになっていた。

ここ最近、杉並の奴と組んで悪事を働いていなかったので、随分と失念していたのだ。

高鳴る心臓に、たまらない緊張感とスリルが全身を纏っていく高揚感。

顔の筋肉が緩んでいき、涙を滲ませながらも、俺は心底の笑みを形作った。

不謹慎な言い方をするようだが、この状況にはきっと、ゲーム感覚で望めば良い。

自軍の駒は二つで、敵軍の駒も同じく二つ。

制限時間は気の遠くなる様だが、今から約6時間半で、その間に決して見つかる事のない様、
あらゆる方法を駆使して学園内を逃げ回る事が目的で、捕まれば即、バッドエンドへと落とされる。

難易度が非常に高く、勝率の面から言っても圧倒的に不利な状況下だが、勝機は充分だった。

先陣切ってトイレを駆け抜けた杉並の体を、ふいに一つの影が掠めていく。

唐突な出来事に対応しきれず、杉並は態勢を崩すが、すぐに本来の落ち着きを取り戻した。

「杉並先輩ッ。すぐに卒業証書を渡して、お縄に付いて下さい」
「ほぉ、これはこれはわんこ嬢。だが、お前に俺の相手が務まるとでも?」
「無茶なのは承知です。ですが、窮鼠猫を噛むと言う、ことわざもありますからね」
お互いに一定の距離を取り、踏み込むタイミングを見極めながら、視線同士の火花が飛ぶ。

懐に片手を忍ばせた杉並に答えるようにして、美春が態勢を低く下げ、両ポケットに手をやる。

緊迫感を溢れる空間に、不思議と沈黙が落ち、呼吸すらも大きく反芻されていく。

そして、嵐の前の静けさは、新たに出現した音夢の姿によって簡単に破られた。

「兄さんはもう、油断も隙もありませんね。先ほどまでは、白々しい事を言っておきながら」
「悪いけどな、気が変わったんだ。だけど見逃しては――くれないよな?」
「当然です。やれやれ・・・説得してダメなら、力ずくでやるしかないですね」
対峙する二組の幻影が、閉鎖的に切り取られた空間で音もなく漂っていた。

直後、淡い膜で覆われた沈黙が一瞬にして破れ、空気がびりびりと周囲を震わせる。

こうして、戦いの火蓋は切られた。






心身共に浪費しきった体に鞭打ち、時計へと目を落とす。

例の計画が実行されるまでに必要な時間は十分を切り、もはやゲームは勝利かと思われた。

太陽が燦然と輝く空を、やがて夕闇が満たし、程良い薄暗さが展開されていく。

屋上へと続く階段を背中に向けて音夢と美春が立ち尽くし、その足下には杉並が転がっている。

後ろ手に手錠をはめ込まれ、地面に突っ伏し、何かを訴えかける様にこちらを見つめていた。

「杉並君は、この通りです。卒業証書も半分は回収済み。兄さん達が企んでいる計画に必要な物が屋上にあるのは分かっています。
もう、これ以上の抵抗は無意味なんですよ」
あれ程慎重かつ冷静な杉並が捕まった理由は、今の言葉でおおよそ理解できる。

確かに、屋上に踏み込まれるとマズイ事が知られた以上は、常に相手の動きを警戒する必要性がある上に、
絶えず屋上への階段を死守すると言う足枷が付く事になるのだ。

片方が待ち伏せをし、その隙に付け込むとあらば、いくら杉並でも手の施し様がなかったのだろう。

幾重もの関門を潜り抜けたのにも関わらず、最後の最後に待ち受けるのは絶望だけなのか。

戦意がくじかれ、もはや音夢達を翻弄する気力すら萎えてきた一瞬、俺は見た。

敵の手中にいてなお、勝ち誇った笑みを浮かべている杉並の姿を。

「肝心の杉並君は手錠をかけられ、屋上への道は封鎖。もはや、チェックメイトです――」

そうか――

自信満々の態度を取り続ける杉並の真意が、何もかも読めてしまった。

あまりの興奮に小躍りしたくなるが、ここで神経を乱してしまえば、勝ちは望めない。

残された駒を効果的に使い、焦らず騒がず戦況を見渡す者こそが、勝利者に相応しいと言えよう。

俺は再び視線を持ち上げると、音夢に向かって静かに言葉を告げた。

「分かったが、杉並と交換だ。歩けるよう、立たせてやってくれ」
「やっと素直になりましたね。――懸命な判断です」

美春によって抱え起こされた杉並が、音夢と美春の背後に立つ。

反面、俺は二人の前面に立ち、今の状況を一言で表すなら挟み撃ちとでも言えようか。

もちろんそれは、お互いが自由に行動できる事が前提条件なのは言うまでもない。

俺は一歩一歩ゆっくりと進みながら、絶好の距離、そしてタイミングを見計らう。

「朝倉妹よ、お前は良く頑張った」
「負け惜しみですか?今更何を言っているんですか」
心臓の脈動はヒートアップし、解放の時を今か今かと待ちわびる。

やがて俺と杉並の視線が、見事なまでに一本の直線で結ばれる。

二人の呼吸が一つになった瞬間、俺は力強く吠えた。

「今だ、杉並!」
マジシャンの様に手錠を取り払った杉並が、すかさず音夢と美春を抱え込む。

この時、屋上までの障害物は完全に除去され、俺はこの機を逃す事無く階段を駆け上がった。

杉並の野郎――まだ針金持ってるなんて、反則だろ?

数時間前、手錠を外す為に手の加えられた針金を、杉並は万一の為に持っていたのだ。

その証拠に、俺の手かせを外す為に使った後、おぼろげだがポケットに入れていた記憶がある。

恐らく逃亡だけなら簡単だったのだろうが、敢えて敵の策に引っかかり、機を狙っていたのだろう。

呆れた知能犯だとは思うが、俺もそれに荷担しているだけに、大口を叩く事は出来ない。

慌てふためく二人を尻目に、ドアノブを乱雑に捻って、栄光への扉を開け放つ。

微風はためく屋外に設置された、大がかりな道具を、俺はしばらくの間、呆然と見つめる。

海の向こう、地平線の彼方に消えゆく夕日は、まるで俺達の勝利を祝福しているかの様だった。

やがて杉並の制止を振り切ったのであろう、音夢と美春が、屋上へと飛び込んでくる。

俺はそんな二人に満面の笑みを贈ると、預かり物であるライターを緩やかに着火させた。

景気良く導火線に火を灯し、胸一杯の大気を浴びながら、俺は勝利の雄叫びを上げる。

数秒後、爆音と共に多数の花火が打ち上げられ、上空で華麗なる光の花を咲かせた。

未だ学校に残っていた卒業生は揃って空を仰ぎ、この幻想的な光景に目を奪われる。

それは、あれ程敵対していた音夢や美春でさえも例外ではない。

何発目かの花火が空を舞った頃、音夢は溜め息を付いてから、こちらへと歩み寄ってくる。

晴れ渡ったその顔からは、嘘偽りのない正真正銘の笑顔を見る事が出来た。

「今回は負けを認めますよ。――兄さん、卒業おめでとうございます♪」





終わり

フクロウ さんから頂いた純一&杉並の友情SSです。
さすがにこれを音夢SSというのは無理がありますよねw
たった4人だけの登場人物なのに、スピード感のある表現の数々が凄いです。
自分もこれくらい上手い表現で書きたいものです。



                                        
ラン・アウェイ
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